記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/22
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「ベジタリアンへの健康のススメ」もいよいよ最終回です。
今回は、「お肉を食べないベジタリアンがうまくタンパク質をとるにはどうすればいいの?」「有機栽培の野菜のほうが健康にいいってホント?!」など、ベジタリアンならではのギモンについてお答えしていきます。
オメガ三系脂肪酸を豊富に含んだ野菜やフルーツを毎日少なくとも5人前とり、飽和脂肪が豊富な食物や食塩の摂取量を削減すると心臓を健康的に保つことができると考えられています(オメガ三系脂肪酸には、健康な心臓の維持・心臓病リスクの軽減といった効果は望めないとしている研究結果もあります)。
以下はベジタリアンに適したオメガ三系脂肪酸供給源です。
・亜麻仁油
・菜種油
・大豆油、大豆製品(豆腐など)
・くるみ
オメガ三系脂肪酸が含まれたタイプの卵もおすすめです。
多くのベジタリアンは食事中に十分量のタンパク質をとっていますが、不足している場合は参考にしてください。以下はベジタリアンに適したタンパク質供給源です。
・豆類
・シリアル(小麦、オート、米)
・大豆製品(豆腐、豆乳、大豆ミンチなどの植物性タンパク質)
・ナッツや種子
また、以下は完全菜食主義以外のベジタリアンのためのタンパク質供給源です。
・卵
・低脂肪の酪農製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
体細胞を形成・修復する際に必要なアミノ酸を得るためにも、異なる供給源から様々なタンパク質を摂取することが欠かせません。
ベジタリアンの場合も、運動をしながら特別な食事をとる必要はありません。
実際、ほとんどのベジタリアンは身体を成長させ回復させるのに必要な十分量のタンパク質を摂取できています。もし定期的に運動を行うのであれば、米・パスタなどの複合糖質をエネルギー源として摂取してください。また、激しい運動を行う場合は十分な水分もとりましょう。
ビタミンやミネラル量は、育てられた土壌、収穫された時期や貯蔵の方法などによって異なります。事実、有機栽培の食べ物がより健康的だという科学的根拠はありません。
有機栽培の食べ物にするかどうかは個人の選択次第であり、実際有機栽培のものを食べる人の理由の多くは環境への配慮です。有機栽培かどうかとは関係なく、たくさんの野菜やフルーツをとることが重要です。
3回にわたる「ベジタリアンへの健康のススメ」でしたが、知りたかったギモンは解消したでしょうか?ベジタリアンは自分の健康のために、不足しがちな栄養素について正しく理解し、適切な形で摂取していくことがとても大切です。