乾癬の症状と出やすい場所の特徴は?

2020/12/12

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

体のいたるところに皮疹が現れる乾癬ですが、具体的にはどのような症状があるのでしょうか?また症状が出やすい場所などはあるのでしょうか?乾癬の症状や発症場所について解説します。

乾癬の症状は?

乾癬の主な症状

  • 紅斑(こうはん)
    皮膚が赤くなる状態
  • 浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)
    皮膚が盛り上がる状態
  • 鱗屑(りんせつ)
    皮膚の表面を銀白色の細かく厚いフケが覆っている状態
  • 落屑(らくせつ)
    鱗屑が剥がれ落ちる状態

症状に伴うかゆみには個人差がありますが、乾癬患者のおよそ5割にかゆみが発生し、2~4割に爪の病変が起こると言われています。

乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)

関節の腫れや痛み、変形などの症状が関節リウマチと類似していますが、異なる病気です。関節の腫れは手・足・指などの第一関節に発生しやすいと言われています。乾癬患者なら必ず乾癬性関節炎になるわけではなく、また、乾癬の皮疹の程度が関節症状に影響することもありません。

関節症状は、乾癬皮疹の発症から数カ月後や十数年後に現れることもあり、いつ発症するかは予測できません。ただし、関節痛のある患者さんで、指の関節に乾癬がある場合や爪病変がる場合は乾癬性関節炎の疑いがあります。近年の乾癬性関節炎患者の割合は、乾癬患者全体の約3~10%と言われています。

滴状乾癬(てきじょうかんせん)

比較的若い人に発生しやすい症状で、扁桃炎の後などに水滴(直径1cm程度)ほどの皮疹が突然全身に現れます。基本的には扁桃炎の治療を行うと治りますが、まれに慢性の尋常性乾癬に移行してしまう場合があります。滴状乾癬患者の割合は、乾癬患者全体の約4%です。

乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)

尋常性乾癬の皮疹が全身に及び、皮膚全体の80%以上が赤くなる症状です。初めから紅皮症化した状態になることは少なく、未治療・不適切な治療・薬剤の感染症などの悪影響で、尋常性乾癬から移行するケースが多いと考えられています。乾癬患者のうち、乾癬性紅皮症患者の割合は約1%です。

乾癬の症状が出やすい場所は?

基本的に、皮疹は全身のどの部分にも出る可能性がありますが、連続して外部から刺激を受ける部位や日光の当たりにくい部位は発生率が高いです(頭皮、髪の生え際、肘、膝、腰まわり、お尻など)。特に、頭皮や髪の生え際は、毛髪による刺激を受けるため皮疹が出やすく、頭部のかゆみやフケが発生しやすくなります。

乾癬の症状は治るの?

乾癬の根本的な治療法はまだ確立されていませんが、治療によって症状を和らげることは可能です。乾癬の症状は、そのときの体調や環境で左右されやすいものの、悪化する原因を避けることで症状をコントロールできます。以下にご紹介する、症状悪化の原因となりうる以下の要因に気をつけましょう。

  • 暴飲暴食
  • 肉体的、精神的ストレス
  • 偏食
  • 感染症(風邪など)

なお、乾癬は慢性の病気で症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すため、治療期間が数十年続くこともあります。

おわりに:乾癬の症状があるときは医療機関の受診を

乾癬の症状にはさまざまなものがあり、特に外部から連続して刺激を受けやすい場所に発生しやすいと考えられています。乾癬には根本的な治療法がまだないため、治療の目的は完治ではなく、症状の緩和となります。治療をせずに放置すると、症状がますます悪化するため、医療機関の受診が必要になります。心当たりのある症状がある人は、一度病院で診察を受けましょう。

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