記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/30 記事改定日: 2019/7/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血圧を測定して左右の数値に差があったとき、どのような病気のリスクがあるのでしょうか?血圧の左右差があるときの原因や考えられる病気について解説していくので、早期発見に役立ててください。
左右の血圧差は、10mmHg以上あると危険とされています。
血圧とは、血液の流れの強さを見るもので、心拍力の強さや血液量、血管の広さなどが総合的に関わっています。
血圧はその日の状態や1日のなかでも変わっていきますが、心臓の機能や心臓から送り出される血液量に異常がある場合は、体全体の血圧に影響が出ることが多いです。
何らかの原因で血管の一部が極端に狭くなると、その先の血流量が少なくなって血圧も高くなります。左右で血圧差があるということは、どこかの特定の血管になんからの異常が起こっている可能性があります。
血圧の左右差は、以下のような病気が原因になっている可能性があります。
動脈硬化は、動脈の内側が分厚く・硬くなることで、血液の通り道が狭まる病気です。動脈硬化になると血流が悪くなり、高血圧のリスクが高まります。
また、動脈硬化は、蓄積された酸化されたLDLコレステロールが、血管の壁に蓄積して、壊れやすいプラークを形成します。プラークが血管から剥がれて心臓や脳の血管に詰まると、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。
動脈硬化が原因で腕に血液を送っている血管のどちらか片方が狭くなったり詰まったりすると、血圧に左右差が出るようになります。
大動脈解離とは、大動脈の内側と外膜が乖離する(離れる)病気です。
大動脈の内膜が裂けると乖離したところの血管が狭くなりますが、腕に血液を送っている大動脈が狭くなると、その先にある腕の血圧は低下します。
たとえば、大動脈解離は鎖骨下動脈の付け根にも起きることがありますが、鎖骨下動脈が狭くなると腕の血流が悪くなり、血圧が低下していきます。
高安動脈炎(大動脈炎症候群)とは、比較的太い血管に慢性的な炎症が起きる自己免疫疾患です。
長期間にわたって血管に慢性的な炎症が引き起こされることで血管の狭窄や閉塞が起こり、その部分のみの血流が悪化することがあります。
片方の鎖骨下動脈や腋窩動脈など腕への血管を分岐する太めの血管に発症するとそちら側だけ血圧が低くなる現象が見られます。
血圧に左右差がある場合、上で述べたような病気が背景にある可能性が考えられますので放っておかずにできるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。
受診に適した診療科は循環器内科や心臓血管外科などですが、お近くに専門科がない場合は一般的な内科で診てもらうこともできます。
病院では血圧の左右差を調べるために、足と腕の血管を用いて血圧の差や血流を評価するためにABI(足関節/上腕血圧比)やPWV(脈波伝播速度)などが調べられます。また、症状や他の検査結果によっては、動脈解離や血管の閉塞や狭窄の有無を確認するための造影CT検査、血管に炎症を起こす可能性がある自己抗体の有無を調べる血液検査などが行われます。
血圧の左右差が大きい場合は、血管などに病変ができている可能性があります。
自宅で血圧測定したときや健康診断・人間ドックなどの診断結果で、血圧の左右に大きな差があったときには、一度循環器科で診察を受けてみましょう。