ADHDの症状は、子供が成長するにつれてどう変わる?

2018/6/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

発達障害の一種である「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」の症状は、子供の成長とともに見え方が変わっていくのでしょうか?幼児・小学生・中高生と段階を経て、顕著に見られる特徴をご紹介していきます。

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ADHDの症状は赤ちゃんの頃から出てくるの?

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、発達障害のひとつです。ADHDの症状は、注意力に乏しい、落ち着きがない、衝動的な言動を抑制しづらいといった3つの特徴があります。これらの特徴の現れ方は全く同じではなく、個人によって異なります。

落ち着きのなさや、目に入ったものが気になってしまうといった衝動性は、幼児期の子供にはよくみられます。特に生まれてすぐの赤ちゃんの頃には、ADHDの特徴か、通常の発達過程かを明確に区別することは困難です。そのため、この時期にはあまり不安になる必要はないでしょう。

ADHDの症状は幼児のときからみられるの?

ADHDの特徴は、小学校に入る前までに目立ってくる子が多いといわれます。幼稚園や保育園に入って集団生活が始まり、年齢に応じたルールが必要になってくる時期です。

ADHDの子が示す特徴は、自閉症スペクトラムなど他の発達障害の子が示す症状にも似ています。あくまでも参考程度ですが以下のような様子があります。

  • 先生の指示が理解できない
  • かんしゃくが強い
  • お友達とのトラブルが多い
  • 気になったものは、すぐに触りたがる
  • ケガが多い
  • ひとつの場所にじっとしていることができない
  • 危ない場所に行ってしまう
  • なかなか寝付かない                 など

本人もどうして良いかわからず、注意されたり、友達からも指摘をされたりすることが増え、だんだんと本人の困り感(嫌なことをなんとかしたいと思うが、うまく対処できず、どうしたらいいかわからない状態)につながっていきます。しかし、家庭や少人数の場所では目立たないために保護者はほとんど気づかない傾向にあり、保育士や教員が最初に気づくこともあります。

小学生になると、ADHDの症状が顕著に

小学校の6年間は、子供たちが大きく成長をする時期です。幼稚園や保育園の時期に比べ、小学校では集団行動の割合が非常に大きくなり、学年が上がるにつれて、子供同士の人間関係も複雑になっていきます。整理整頓など身の回りのことを自分で行う機会も増え、時間を守ったり、周りのペースに合わせることも必要になります。また、自分の意見を言うだけではなく、子供同士で話し合って意見をまとめる機会も多くなります。

ADHDの子は、複雑になっていくルールを守れず集団のペースを乱したり、自分勝手であると思われたりすることがあります。そのため、同年代の子供たちとの関係がうまく築けずに、浮いた存在になってしまうことがあります。

ADHDの症状は中学生から高校生になるとどうなる?

中高校生になると、激しい多動性は比較的落ち着いてくるものの、一方で学習面の課題がみられたり、対人関係のトラブルを抱えることがあります。ADHDは学習障害や自閉症スペクトラムといった他の発達障害が合併している場合があり、困り感も大きくなりやすい時期です。

一般的に、中学生から高校生といった思春期には、自分が他者からどう見られているか、同年代の子とくらべてどうかなど、比較をすることが増える時期です。ADHDの子は注意されることや失敗経験が多くなり、自己肯定感が低下しやすくなります。

自己肯定感の低さや自信のなさは、思春期頃になると保護者や教師への反抗的な言動として表面化することがあります。また、表面的な行動には現れず、著しく意欲が低下したり、不安やうつ状態を示したりすることもあります。こういった二次的に問題が生じている状態を「二次障害」といい、不登校やひきこもりに繋がることがあります。

おわりに:ADHDの症状の現れ方は年齢によって異なる。成長にあわせた対応が必要。

ADHDの特徴は赤ちゃんの頃には判断することは難しいものです。しかし、保育園や幼稚園、小学校と、集団生活が複雑になるにしたがって徐々に表面化してくるでしょう。保護者だけでは気づかないこともあるため、客観的な視点でみてもらうことも大切です。年齢に応じた適切な関わりが必要になっていくでしょう。

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