記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
うつ病と躁(そう)状態を繰り返す「双極性障害」は、うつ病などに代表される気分障害・精神性の病気のなかでも、診断が難しいと言われています。
今回は、なぜ双極性障害の診断が難しいのか、その理由を双極性障害の診断基準や、双極性障害の疑いがあるときに受診すべき診療科目とあわせて、解説していきます。
双極性障害は、気分が落ち込む「うつ状態」と気分が必要以上に高揚し、衝動的な行動をとる「躁状態」を周期的に繰り返します。
うつと躁を繰り返す周期は数週間~数か月単位になることもあり、患者による個人差が大きいうえ、病歴が長いほど周期が長く重度なうつ症状が現れやすい特徴があります。
また、躁状態では異様にテンションが高い、衝動的な行動が目立つなどの症状が見られますが、うつに比べて症状の認知度が低いため、患者にも周囲にも見過ごされやすいです。
すると、どうしても受診のタイミングがうつ状態のときに偏る傾向があり、患者本人からも躁状態があることの申告がないため、医師もうつ病の症状しか確認できなくなります。
また、躁状態による興奮・錯乱が強い場合は、統合失調症と誤診されることもあります。
つまり、躁状態という現象自体の認知度が低いため患者と周囲が躁に気づけないこと、うつ病や統合失調症との判別が難しいことが、双極性障害の診断が難しい理由と言えるでしょう。
双極性障害の診断は、「躁病」「軽躁」「抑うつ」の各状態と認められる症状が、一定期間以上継続し、さらにこれらを周期的に繰り返しているかどうかが基準になります。
以下に、双極性障害の診断基準となる各状態の条件・期間をそれぞれ説明していきます。
双極性障害のうち、特にⅠ型に見られる躁状態の特徴です。
双極性障害のうち、特にⅡ型に見られる躁状態の特徴です。
Ⅰ型・Ⅱ型の双極性障害に共通してみられる症状です。
双極性障害が疑われるような症状が出た場合は、精神科・精神神経科・神経科・心療内科など、精神疾患をみてくれる診療科目のある病院を受診しましょう。
自分の症状を扱ってもらえるか心配な場合は、初診の前に電話で状況を伝えて、自分の状況での受診が適切か確認して、アドバイスをもらうようにしてください。
うつと躁を繰り返すのが双極性障害の大きな特徴ですが、躁の症状が出ているかどうか、また周期的に繰り返しているかは、長期的に患者を観察しないとわかりにくいです。このため双極性障害の診断は専門家の医師でも難しく、診断に長い時間がかかったり、はじめはうつ病や統合失調症と診断されることもあります。これらの事情も考慮し、双極性障害が疑われる症状が出た場合は、早めに病院を受診するようにしてください。