腹痛と下痢が起こるのはなぜ?療養中はどうやって過ごせばいいの?

2018/6/1 記事改定日: 2020/2/28
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腹痛と下痢の症状がある場合は、どのような原因が考えられるのでしょうか?また、痛みを緩和する対処法はあるのでしょうか?腹痛と下痢の症状を伴う病気や対処法について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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腹痛を伴う下痢が起こる原因は?

腹痛をともなう下痢を引き起こす原因として、以下があります。

運動亢進性下痢(うんどうこうしんせいげり)

腸管の働きが異常に活発になることで、便から水分を吸収ができなくなくなり、便の通過速度が速まる症状です。

原因
ストレス、暴飲暴食、消化不良、冷えなど

分泌性下痢

腸粘膜からの腸液分泌が増加する症状です。腸粘膜障害や細菌性毒素などが原因となり、塩類や水分の分泌が腸管内で過剰になることもあります。

原因
食あたり、水あたり、食物アレルギーなど

浸透圧性下痢

腸管内の浸透圧上昇により、水分や電解質の吸収がうまくできなくなることで発症します。

原因
下痢、サプリメント、人工甘味料の過剰摂取、暴飲暴食など

腹痛をともなう下痢の対処法は?

腹痛をともなう下痢が起こったときは、以下の対処しましょう。

水分・電解質補給

下痢による脱水症状や電解質異常を防ぐため、スポーツ飲料などをこまめに飲み、水分・電解質を補給することが大切です。また、牛乳に含まれる脂肪は腸管に負担をかけるため、下痢の症状がある時には控えましょう。

感染症下痢の下痢は下痢止め薬の使用しない

感染症下痢の場合に下痢止め薬を服用すると、腸管内にいる有毒物質を体外に排出できなくなり、症状が悪化したり回復が遅れる恐れがあります。
特に、激しい腹痛・血便・水溶便などがある場合は感染症下痢の可能性があります。自己判断で下痢止めを使用せず、すぐに医療機関を受信しましょう。

食べものに気をつける

  • おかゆやうどんなどの消化吸収の良いものを少量ずつ摂取する
  • やわらかく煮込んだ緑黄色野菜など、ビタミンやミネラルが豊富に含まれている野菜スープを食べる
  • すりおろしたリンゴなどを食べる(柑橘類は腸管に負担をかけるのでおすすめしない)
  • できるだけ薄味で料理する
  • 脂っぽいもの、糖分が多いもの、香辛料などの刺激の強い食べ物は避ける
  • 不溶性食物繊維が多い野菜などは避ける

病院に行った方がいいのはどんな下痢のとき?

腹痛や下痢は様々な原因によって引き起こされます。一時的なもので、排便すれば自然と回復することもありますが、次のような場合には重篤な感染症や消化管の病気が背景にある可能性がありますので、できるだけ早く病院を受診するようにしましょう。

  • 便に血液が混じる
  • 38℃以上の高熱が続いている
  • 右下腹部などお腹の一点が非常に強く痛む
  • めまいや動悸、息切れなどの貧血症状が現れた
  • お腹全体が硬くなっている
  • 歩行もままならないほどの痛みがある
  • 頻回の下痢があり、脱水気味である
  • 家族や職場など周囲に同様の症状の人が多数いる

下痢をともなう腹痛を引き起こす深刻な病気

下痢を伴う腹痛の中には次のように早急な専門的治療が必要な病気によるものがあります。

  • 腸管出血性大腸菌
  • カンピロバクター感染症
  • サルモネラ菌感染症
  • クローン病
  • 潰瘍性大腸炎
  • ベーチェット病
  • 大腸がん

おわりに:長く続くもの、危ないサインが出ているものはすぐに病院に相談を

腹痛と下痢を伴う病気には様々なものがあるため、原因を特定するためには医師の診察を受ける必要があります。
また、下痢による脱水症状を防ぐために、水分・電解質の補給や消化吸収の良い食事をしましょう。また、症状が悪化する可能性があるため、自己判断での下痢止め薬の使用はなるべく控えましょう。

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