食中毒発症までの時間は食品別で違うの?回復を早める方法はある?

2018/6/1 記事改定日: 2019/5/14
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

食中毒の原因となるウイルスや細菌にはさまざまなものがありますが、それぞれ発症までの時間や回復に必要な時間は違うのでしょうか。
この記事では、食中毒の発症までの時間を食品別に解説していきます。予防や対処の参考にしてください。

刺身や寿司で食中毒を発症する時間は?

刺し身や寿司で食中毒を起こした際には、原因として腸炎ビブリオ菌が疑われることがあります。

食事を取ってから、おおよそ8~12時間後に症状が現れますが、これは昼食が原因であれば、ちょうど夜間の布団に入る頃に症状が現れるということです。
激しい腹痛や下痢、吐気といった症状のほか、全身症状として熱が出ることもあります。通常は2〜3日で回復しますが、高齢者では死に至った例もあります。

腸炎ビブリオ菌は、主に魚介類や、その加工品に存在しています。腸炎ビブリオ菌は海水温度が高い時期に活発になるため、この時期は魚介類に腸炎ビブリオ菌が多く付いている状態になります。

捕獲後に適切に流通し調理されなければ、腸炎ビブリオ菌はさらに増殖し、食中毒を引き起こします。腸炎ビブリオ菌は熱に弱く加熱調理をすれば死滅しますが、刺し身や寿司といった生食や、調理器具の汚染から感染が広がってしまうリスクがあるのです。

牡蠣で食中毒を発症する時間は?

牡蠣による食中毒のほとんどは、ノロウイルスが原因です。ノロウイルスが体内に入ってから発症するまでの時間は24~48時間程度になり、これは前日や前々日の食事が原因の可能性があるということになります。

症状は、下痢、嘔吐、腹痛のほか、発熱が生じることもあります。吐き気の現れ方は突然で、寝室や居間などからトイレに行く時間もないほど強い症状があらわれます。

ノロウイルスは、牡蠣以外にもアサリやはまぐりなどの二枚貝を住処としていることが知られています。
生食用の牡蠣から感染することもありますが、加熱用牡蠣の加熱が不十分だったり、下処理で用いた調理器具にノロウイルスが付着したりすることで、感染が拡大してしまう恐れがあります。

また、ウイルスに感染した人の嘔吐物や便に含まれるウイルスによって、家族や看護する人に感染が広がってしまうこともあります。

ケーキで食中毒になった場合、発症するまでの時間は?

クリームを使ったケーキや菓子パンによる食中毒では、原因として黄色ブドウ球菌が疑われることが多いでしょう。

ブドウ球菌による食中毒の症状は、吐き気や下痢、腹痛といった症状が現れます。ブドウ球菌による症状は食べてから1~5時間と発症までの時間が比較的短く、1日程度で回復が見込まれることが特徴です。

黄色ブドウ球菌は、あらゆる食品が原因とはなりますが、特におにぎりやお弁当、お惣菜などの「手づくり」のものによくみられます。

黄色ブドウ球菌は、健康な人であっても手指や鼻、のど、耳、皮ふなどに存在していますが、特に傷口を好むため、手が荒れている人や傷がある人が素手で調理することは感染拡大の原因となります。
ラップや使い捨ての手袋を使用して調理をすることが予防に繋がるので、特に指にケガをしている場合は徹底しましょう。

卵で食中毒になった場合の時間は?

卵による食中毒の原因にはサルモネラ菌が挙げられます。
発症までの時間は12~24時間とされ、腹痛や吐き気、下痢といった症状のほか、頭痛や高熱が特徴です。回復まで1週間程度とされますが、乳幼児や高齢者などでは重篤な症状を示した例もあります。

サルモネラ菌は卵以外にも、牛や豚、鳥といった食肉や乳製品でも繁殖がしやすい食中毒菌です。また、河川や下水など自然界にも広く存在しハエやゴキブリといった害虫だけではなく、イヌやネコ、カメなどペットとして飼われる動物が持っていることもあります。

サルモネラ菌は熱に弱いため、加熱調理をすることで死滅します。どうしても生や半熟で楽しみたいときは、店頭でも冷温で販売されているものを、購入後早めに使いましょう。また、ペットを触ったときは、手洗いが大切です。

食中毒の回復を早めるために、どんな対策がある?

食中毒の回復を早めるには以下のような対策が有用です。

  • 下痢や嘔吐が頻回にある間は食事を中断する
  • 食事を摂る場合は、おかゆやスープなど消化のよいものにする
  • 塩分や香辛料は控えめにする
  • アルコールを摂らない
  • 電解質の含まれた水分をこまめに摂る
  • 無理をせず、ゆっくり休むようにする
  • 吐き気などで十分に水分が摂れない場合は、病院で治療を受ける

おわりに:原因となる細菌やウイルスにあわせた対処をしよう!

食中毒は、原因となる食べ物によって病原体や、症状の回復までの時間も異なります。しっかりと加熱調理すれば死滅する場合もある一方で、食材の保管方法や調理器具の扱いによって、二次的に感染を広げてしまうこともあります。中には重篤な症状を呈することもあるため、最低限の特徴を理解して適した対応を心がけましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

ノロウイルス(56) 食中毒(66) サルモネラ菌(5) 腸炎ビブリオ菌(2)