認知症の方との接し方、どんなポイントがあるの?

2018/6/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

認知症の人と接する時は、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?認知症の人との接し方や注意するポイントについて解説していきます。

認知症の人との接し方の基本は?

認知症の人は、最近の記憶はなくても古い記憶は残っている場合が多く、感情も豊かに生活しています。また、患者さん自身も認知症による不安・混乱・焦燥感などを抱えているため、以下のことに気をつけながら自尊心を傷つけることのないように接することが大切です。

ご本人のペースに合わせる
認知症の人は、自分のペースが乱されるとパニックに陥ってしまうことがあります。急かしたり慌てさせないように、本人のペースに合わせて話をしましょう。また、話しかける際には、本人の視界に入るように正面から言葉をかけてください。
わかりやすい言葉で簡潔に伝える
認知症の人は、一度に多くの情報を与えられると混乱してしまうため、一つずつ・簡潔に・わかりやすく伝えるようにしましょう。また、言葉を先取りしたり、急かしたりせずに、気長に返事を待つことが大切です。
言動ではなく気持ちに寄り添う
徘徊や妄想などの症状が見られる場合は、言動そのものではなく本人の気持ちに寄り添うようにしましょう。意味がわからないように思える言動でも、本人なりの理由があることが多いです。常識を押し付けたりせず、理解を示すようにしましょう。
その人らしさを大切にする
「わからないこと」「出来ないこと」に目を向けるのではなく、「わかること」「できること」「好きなこと」「得意なこと」を探して本人の自信につなげることが大切です。また、人格を否定する言葉や態度は慎んで、嫌な顔を見せないように注意しましょう。
スキンシップをはかる
認知症の人は不安や疎外感を感じやすいため、手や肩に優しく触れてスキンシップをはかるようにしましょう。また、話をする際には目線の高さを合わせ、威圧感を与えないようにしましょう。

新たな接し方

バリデーション

バリデーションとは、「認知症の人の感情・欲求を表に出す」「人生の未解決問題を解決する手助けをする」ことを目的に行われるコミュニケーション方法です。

日本で行われたある研究では、特別養護老人ホームなどの施設入所者30名を対象として、週に1度、同じ時間、同じ人たち、同じ場所で、皆で歌を歌うなどの活動をした結果、バリデーションを実施したグループのみに、感情状態の陰性傾向が低下し、陽性傾向が上昇する結果が出ました。バリデーションによって、認知症の人たちの間に新たなコミュニケーションができ、心的交流ができるようになったと考えられています。

ユマニチュード

ユマニチュードは、フランスで始められた、知覚・感情・言語を用いたコミュニケーション方法で、「見つめる」「触れる」「話しかける」「立つように支援する」の4つの行動を実施します。

見つめる
認知症の人は、視野が狭くなっている傾向があるので、目線を同じ高さにしてできるだけ近い場所から見つめます。
触れる
認知症の人が抵抗を感じない範囲で、スキンシップをとり、体を支えます。
話しかける
コミュニケーションを取る際には、優しい言葉でゆっくりと話しかけます。
立つように支援する
「立つ」という行動は、人としての尊厳(プライド)を保つために効果的だとされています。

ユマニチュードには上記の他にも150の技法がありますが、できるものから少しずつ実施していくことが大切です。看護師や介護士だけでなく、家族の人と一緒に自宅で行うこともできます。

認知症で徘徊や被害妄想があるときの接し方のポイントは?

被害妄想がある場合

お財布などが盗まれた等の「もの盗られ妄想」の症状がある時は、本人の話をよく聞いて、一緒に探したり調べたりするなど、本人の心に寄り添った対応をすることが大切です。また、ケアをする人が本人と対等な関係を築くことで、被害妄想が改善することがあります。

徘徊がある場合

徘徊の症状がある場合は、本人なりの目的や理由があることが多いので、責めたり無理に行動を止めたりすることは控えましょう。本人の話を共感しながら聞いたり、外出する際は後ろから見守ったり、本人が歩き疲れた頃に声をかけたりしましょう。また、念のために、徘徊感知器・GPS付き発信機・近所の交番の協力を仰ぐなどの対策をしておくことも良いでしょう。

おわりに:本人の心に寄り添った対応をすることが大切

認知症の人と接する際には

  • 本人のペースに合わせる
  • わかりやすく伝える
  • 気持ちに寄り添う
  • その人らしさを大切にする
  • スキンシップをはかる

といったことが大切です。また、徘徊や被害妄想などの症状がみられる場合も、本人の心に寄り添って対応しましょう。

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