脳梗塞の再発に前兆はある?再発する確率ってどのくらい?

2018/6/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脳の動脈に何らかのきっかけで血の塊である血栓が詰まり、血管の狭窄、脳の壊死などの症状を招く「脳梗塞」は、非常に再発率の高い病気として知られています。
今回は脳梗塞の再発について、知っておきたい再発の前兆や確率、再発した場合の予後のことまで、ご説明していきます。

脳梗塞の再発って前兆はあるの?

脳梗塞が起こる前には特有の前兆があるとされ、これは脳梗塞を経験した回数によって変わるものではなく、初回でも再発でも似たような症状が出るとされます。

前兆をとらえることができれば、脳梗塞が再発する前に対処することも可能になります。以下に代表的な脳梗塞の前兆をまとめますので、チェックしましょう。

運動障害
特に痛みはないのに、片方の手足・顔などがうまく動かせないと感じるようになったり、うまく力が入らないのは、比較的気づきやすい脳梗塞の前兆の一種です。
感覚障害
圧迫などはしていないのに片方の手足の感覚がなくなる、しびれるなどの感覚異常も、運動障害と並んで代表的な脳梗塞の前兆です。
視覚障害
視界が狭まる、物が二重に見える、目の焦点が合わない、片方の目に膜がかかっているように見えるなどの視覚障害が、片方の目に数秒から数分間現れることがあります。
言語障害
急に言葉が出なくなる、舌が動かずろれつが回らなくなり、ラ行・パ行が発音できなくなる言語障害が出た場合は、脳梗塞の前兆の可能性があります。
一過性脳虚血症
上記のような症状が一時的に出て、1時間程度で回復する一過性脳虚血症という症状も、脳梗塞の前兆の可能性があるため、注意が必要です。

脳梗塞が再発する確率ってどのくらい?

脳梗塞には大きく分けて「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3タイプがあり、それぞれ以下のように再発率が異なります。

ラクナ梗塞
高血圧を要因とし、日本人に特に多いとされるこのタイプの脳梗塞の再発率は、1年以内は約7%、5年以内は約30%、10年以内は約47%といわれています。
アテローム血栓性脳梗塞
生活習慣病を要因とし、アテロームと呼ばれる血栓が動脈にできるこのタイプの脳梗塞の再発率は、1年以内が約15%、5年以内は約40%といわれています。
心原性脳塞栓症
心疾患を要因とし、最も再発率が高いとされるこのタイプの脳梗塞は、1年以内で約20%、5年以内は約42%、10年以内では75%にのぼるといわれています。

また、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は患者の年齢が上がれば上がるほど再発しやすくなり、心原性では年齢にかかわらず再発率が高いのが特徴です。

脳梗塞が再発すると、予後はどうなる?

脳梗塞は、再発を繰り返すたびに脳細胞の損傷範囲が広がっていくため、回数を重ねるごとに発症したときの症状自体も、後遺症もひどくなっていくといわれています。

このため、脳梗塞が再発した場合の予後は良くないことが多く、たとえ1回目が軽度であっても、2回目以降はどんどん悪化していくのが一般的です。

だからこそ、再発を予防するために継続的に服薬することが推奨されています。再発を起こし、症状・後遺症の悪化を招かないためにも、医師から処方された薬は決して自己判断で減量・中断することのないように注意してください。

おわりに:脳梗塞には特有の前兆があり、タイプによって再発率は異なる

脳梗塞には「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3タイプがあり、それぞれのタイプによって再発率は異なります。ただし、脳梗塞には初回・再発・タイプにかかわらず特有の前兆があり、これらを捉えられれば再発を未然に防ぐことも可能です。再発すると予後が良くないことも多いですから、普段から医師の指示に従って服薬・予防を続けて、しっかりと再発予防に努めてくださいね。

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