心不全の初期症状ってどんなふうに出てくるの?

2018/6/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

心臓が弱くなり、ときには停止して突然死の原因となることもある「心不全」は、誰にでも発症し得る恐ろしい病気です。
ただ、心不全は初期症状さえ知っていれば、発症の前に対処して食い止めることができる場合があります。
そこで今回は、知っておきたい心不全の初期症状について、解説していきます。

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心不全の初期症状ってどんな感じ?

心不全にはゆっくりと進行していく「慢性心不全」と、突然心臓に異常が発生する「急性心不全」があります。今回は、特に現れやすい「慢性心不全」の初期症状について、ご説明していきます。

代表的な心不全の初期症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ウォーキングや階段など軽い運動でも足が疲れやすくなる
  • 軽い運動だけで、足だけでなく呼吸や動悸が乱れ、苦しいと感じるようになる
  • 少し前と比べて、急に体力が落ちたなと感じる

上記のような症状は、いずれも身体に血液を送り出す心臓機能の低下によって、各部位への血液・酸素の供給が不足したことが原因で起こるものです。

このため、軽い運動で全身が疲れやすく、息苦しくなるのは典型的な慢性心不全の初期症状であるといわれています。

心不全の初期症状ってわかりにくいの?

疲れやすくなった、動悸・息切れを感じやすいという症状が出る疾患は、心不全以外にも以下のように多々考えられます。

  • 単なる運動不足
  • 風邪などの感染症
  • 過労、ストレスによる自律神経失調症
  • がん、白血病など悪性腫瘍
  • 肺や気管支の病気など、呼吸器疾患
  • 貧血などの血液疾患
  • 血圧異常、血糖値異常など生活習慣病
  • 腎臓病、泌尿器科の疾患
  • うつ病などの精神、神経科的疾患
  • 甲状腺機能低下、更年期障害など内分泌系の疾患  など

このため、典型的な初期症状が出ているにもかかわらず、他の病気と間違えたり、単なる過労や体調不良であると思い込んで、心不全と気づかないケースも多いのです。

また、患者本人が他の病気やただの体調不良と思い込むため、病院にかかっても医師にこれらの初期症状を伝えず、医師が心不全の前兆に気づけないことも少なくありません。

どんな初期症状だったら心不全の可能性がある?

冒頭で紹介したような症状が出ていて、これを心不全の初期症状であると疑った方が良い場合は、以下のケースです。

  • 「とても疲れやすい」「動悸・息切れが苦しい」という症状が複数当てはまる
  • 上記の症状が長く続き、休養をとってもなかなか良くならない
  • 他の病気を疑って病院にかかって治療を受けたが、特に改善が見られない気がする

上記の条件に1つ以上当てはまる場合は、心不全の可能性を疑うべきです。

ただ、初期段階での心不全の診断は内科医でも難しいと言われ、問診をはじめ多面的な検査が必要になるため、診断確定には少し時間がかかります。この点を考慮し、重症化する前に心不全を発見するためにも、疑わしい初期症状を見つけたらすぐに病院に受診し、率直に「心不全を疑っている」と相談することを推奨します。

しっかり自覚症状や不安に感じていることを伝えることで、隠れていた心不全が発見される可能性はグッと高くなりますので、覚えておいてください。

おわりに:心不全の初期症状はわかりにくい…不安を感じたらすぐ医師に相談を

心不全の初期症状は「疲れやすくなる」「動悸・息切れしやすくなる」という、比較的ありふれたものであるため、見過ごされがちです。このため患者本人が危険であると認識できず、医師に伝えられないと、専門医でも発見が遅れる場合もあります。この記事を読んでみて、自分の症状に少しでも心不全の危険性を感じたなら、できるだけ早く病院に行って、医師に相談しましょう。

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