記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
認知症の改善のためにリハビリを行っている人は数多くいらっしゃいますが、そもそもこのリハビリにはどんな効果があるのでしょうか?また、どんなことを行うのでしょうか?以降で解説していきます。
認知症は老化による物忘れと違い、アルツハイマー病や脳梗塞、くも膜下出血や脳腫瘍などの何かしらの病気によって脳の神経細胞が壊れるためにおこる症状の総称です。
認知症が進行していくと、理解する力や判断能力がなくなって、徐々に社会生活や日常生活に支障をきたします。そして活動意欲も低下し、外部との接触を拒むようになります。
そこで認知症の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するために必要なのがリハビリです。リハビリの基本的な考え方は、症状の進行を防ぐことにあります。リハビリを行ったからといって劇的に症状が改善するわけではありませんが、リハビリを行うと認知能力の維持だけでなく、楽しみを作り、笑顔を生む効果が期待できるとされています。
認知症に効果があるといわれているリハビリには、以下のものがあげられます。
音楽によるリラックス効果が症状の改善につながると考えられています。
音楽療法には、音楽を聴く「受動的音楽療法」と、自分で歌を歌ったり楽器を演奏したりする「能動的音楽療法」の2つがあり、これによって脳の血流が増加し、脳が活性化します。
主に徘徊、暴力、睡眠障害などの行動面の症状改善や、心理面では不安や興奮、慢性的な落ち込みや無気力状態、妄想や幻覚などに効果があるといわれています。
アニマルセラピーとも呼ばれ、動物と触れ合うことで可愛さに癒されたり、世話をしたいという優しい気持ちが生まれたりすることで心身の安定を図ります。
例えば、認知症の人は今まで自分が人の世話をしていたのに、逆に世話をされる立場となり、自信を無くし落ち込む傾向にありますが、動物介在療法はそんな心理に働きかける効果があります。具体的には、表情が豊かになり、言葉が増えたりする効果が期待できます。
認知症患者に何かしらの作業をしてもらう療法で、医療機関の作業療法士による実施はもちろん、家庭内でも取り組みやすいのが特徴です。料理、掃除、洗濯、整理整頓などの一人で行える作業や、体操やゲートボール、編み物や折り紙などを用いて他者とのコミュニケーションを取りながら行う作業があります。
作業療法により、家庭内での役割を担うことで生活への意欲も高まり、複数人のグループ内でコミュニケーションをとることで、他者から認められたという自尊心が刺激されると考えられています。これは発症後の進行抑制だけでなく、認知症の発症にも効果があると考えられています。
認知症の進行抑制に大変効果のあるリハビリですが、患者本人がリハビリを拒否してしまうことも少なくありません。
リハビリを拒否してしまう理由には、自分の状況をうまく受け入れられていなかったり、認知症による理解力の低下でリハビリの大切さが理解できなかったりすることがあげられます。
ただ、リハビリを行うのはあくまでも本人ですので、まず「リハビリをしたくない」という気持ちを受け止めてあげることが大切です。家族だけで対応しようとせず、専門の医療機関やリハビリを行う療法士などの第三者から話をしてもらったり、リハビリを行う必要性をわかってもらうためにリハビリを続けた人と情報交換をする場を提供したりすると良いでしょう。
認知症患者と生活をする家族にはたくさんの苦労があると思いますが、一番大変なのは本人です。リハビリは短期間で効果がみられるものではありませんし、つらく苦しいものだと思っている患者も多くいます。本人の意思を尊重して、家族はもちろん、医療機関のなど周囲の協力も得て、チームとなってリハビリを行うことが大切です。