記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/13 記事改定日: 2019/2/8
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
認知症の親族がいる場合、認知症が遺伝する確率はどのくらいなのでしょうか?また、発症を防ぐために有効な予防方法はあるのでしょうか?以降で解説していきます。
近年の研究では、認知症発症の原因となる遺伝子がいくつか確認されていますが、家族に認知症の人がいても、必ず発症するとは限らず、遺伝する確率は低いとされています。
例えば、アルツハイマー型認知症では高齢者の発症率が高く遺伝による発症は少ないとされていますが、遺伝による発症率が比較的高いとされる若年性アルツハイマーでも、実際に遺伝の可能性があるのは1割ほどで、明らかに遺伝子による影響を受けているのはさらにその半数といわれています。
認知症の発症には、遺伝子以外にも様々な要因が複雑に関わっているため、遺伝子を持っているからといって、あまり心配しすぎたり落ち込まないようにしましょう。
遺伝による発症率が比較的高い若年性アルツハイマーは、「家族性アルツハイマー病」とも呼ばれており、認知症全体の2~3%の割合を占めるとされています。
一般的には35~60歳までに発症するとされており、家族内にアルツハイマー型認知症の人がいる場合は発症する可能性が約3倍になるといわれています。
若年性アルツハイマーは検査で発覚するケースもありますが、100%判明するとは限りません。
若年性アルツハイマーの発症に関わる遺伝子には、「APP(アミロイド前駆体タンパク遺伝子)」「PSEN1(プレセニリン1)」「PSEN(プレセニリン2)」の3つがあり、これらは以下のような働きをするために、若年性アルツハイマーの発症リスクが高まると考えられています。
初期症状として、抑うつ・意欲低下・感情の乏しさなどが現れます。また、仕事が滞ったり効率が低下しても周囲の人に相談しなくなったり、消極的な態度が見られることもあります。
問題を解決する意力などが低下したり、無断欠勤をする場合もあります。
高齢者の発症率が高い他の認知症と比べると、若年性アルツハイマーは症状の進行スピードが速いため、早期発見と治療が望まれます。早めに治療を受けることで症状の進行を遅らせることができる可能性があります。
ただし、本人に自覚がないことが多いので、家族や友人などの周囲の人は気づいたらすぐに病院の受診をすすめましょう。
できれば認知症専門病院への受診が望ましいのですが、近くにない場合や本人の承諾が得られない場合は、神経内科や物忘れ外来などのCTやMRI検査を受けられる医療機関を受診しましょう。
若年性アルツハイマーの発症や進行を予防するには、生活習慣を改善することが大切です。
特に、糖分や油分の過剰摂取などの食生活の乱れ、運動不足が若年性アルツハイマー発症のリスクになることが分かっているため、日頃から以下のことに注意しましょう。
遺伝による発症率が高いとされる若年性アルツハイマーでも、実際に遺伝で発症するのは認知症全体のわずか2~3%とされています。
認知症は遺伝だけでなく、生活習慣などその他の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられているので、まずはできる予防法から実践していきましょう。