筋肉痛に熱や頭痛、寒気…これって風邪? 下痢や腹痛を伴う場合は?

2018/6/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

通常は激しい運動後に見られる「筋肉痛」ですが、突如筋肉痛が起こり、さらに熱や頭痛などを伴う場合は、原因として何が考えられるのでしょうか?また、筋肉痛に加えて下痢や腹痛などの消化器症状が見られる場合は、何の病気の可能性があるのでしょうか?

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筋肉痛に熱、頭痛、寒気が…これって風邪?

高熱に加え、頭痛や寒気、そして筋肉痛がみられる場合は、ただの風邪ではなくインフルエンザの可能性があります。普通の風邪では、鼻水やくしゃみ、咳、喉の痛みなどの上気道症状がメインで、熱もそこまで高くはならないのに比べ、インフルエンザでは上気道症状に加え、筋肉痛や倦怠感などの全身症状が見られる傾向にあります。

両者の主な特徴は以下の通りです。見分ける際の参考にしてください。

通常の風邪

  • 主症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、喉の痛みなど
  • 熱は37℃台のことが多い
  • 頭痛や倦怠感などの全身症状は、あっても軽度
  • 潜伏期間は5〜6日程度で、ゆるやかに発症する

インフルエンザ

  • 症状は発熱、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛、倦怠感、鼻水、咳、喉の痛みなど全身にわたる
  • 熱は38〜39℃の高熱のことが多い
  • 流行期である11〜3月に感染しやすい
  • 1〜2日の潜伏期間の後、急激に症状が現れる

筋肉痛に熱や下痢、腹痛、吐き気が…胃腸炎の症状?

通常の感染性胃腸炎の主症状は、腹痛や吐き気、下痢、微熱などで、筋肉痛や倦怠感などの全身症状が見られることはあまりありません。しかし、下記の胃腸炎や食中毒の場合は、筋肉痛が起こることがあります。

ノロウイルス感染症

ノロウイルス感染症は、急性胃腸炎を引き起こすウイルス性感染症の一種です。ノロウイルスに汚染された食品(主に牡蠣などの二枚貝)を摂取したことによる経口感染、感染者の吐瀉物や下痢便を通しての空気感染や飛沫感染などが主な感染経路で、11〜2月の冬場に流行期を迎えます。

ノロウイルス感染症の主な症状と特徴は以下の通りです。

  • 主症状は吐き気、下痢、嘔吐、腹痛
  • 頭痛や発熱、寒気、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が見られることもある
  • 潜伏期間は1〜2日で、急激に症状が現れる
  • 2〜3日で回復することが多い(抵抗力の衰えた高齢者などは重篤化する場合がある)

カンピロバクター食中毒

カンピロバクターは、食中毒を起こす病原菌の一種です。主に牛や豚、羊、鶏、犬、猫などの消化管内に生息し、これらの動物の肉を加熱不十分な状態で食べたり、生乳や細菌を含んだ水を飲んだりしたことによって人に感染します。

カンピロバクター食中毒の主な症状と特徴は以下の通りです。

  • 主症状は下痢や腹痛、発熱
  • 頭痛やめまい、倦怠感、筋肉痛などの症状が見られることもある
  • 潜伏期間は2〜7日で、適切な治療を行えば2〜5日程度で回復することが多い

おわりに:筋肉痛を伴う場合は、ただの風邪や胃腸炎ではない可能性が!

通常の風邪や胃腸炎では、上気道症状や消化器症状は見られても、筋肉痛を伴うケースはそこまで多くありません。インフルエンザやノロウイルス、カンピロバクター食中毒など、特定の感染症の可能性がありますので、該当するところが多ければ早めに病院を受診しましょう。

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