浮腫のメカニズムとは ― 浮腫の仕組みを詳しく解説!

2018/7/2

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

足や顔などに現れることのある浮腫(むくみ)。特に女性はお悩みの方が多いですが、そもそもこの浮腫はどういったメカニズムで発生するのでしょうか?浮腫が起こる仕組みについてご紹介していきます。

浮腫が起こるメカニズムって?

人の体重の60%を占める水分(体液)は、あらゆる器官で生命維持のために重要な役割を担っています。浮腫は、余分な水分が溜まってしまうことであらわれますが、それは細胞と細胞の間のすき間である「間質(かんしつ)」の水分「間質液」(細胞間液)が増加した状態です。

全身を巡っている血液やリンパと間質の間では、たえず水の移動が行われています。この移動の力となっているのが、「血管内圧」と「血漿膠質浸透圧(けっしょうこうしつしんとうあつ)」です。動脈側では血管内圧が大きく血管内の水分を間質に移動させますが、静脈側では血管内圧が小さいため血漿膠質浸透圧が血管内圧より大きくなって、間質の水分を血管内に移動させる力として働きます。普段、間質液の一部はリンパ管にも吸収されており、間質の水分が増加するとリンパ管の吸収量が多くなります。しかしこの一連の水分の流れに何かしらの障害が起こると、間質に水分が溜まってしまい浮腫が起こります。

血漿膠質浸透圧とは?

まず、溶けているものは通さず、溶かしている水分子は通すといった性質をもつ膜を半透膜といい、半透膜を通して濃度の異なる溶液を同じ濃度にしようと水分子を移動させる力が「浸透圧」です。そして血管を流れる血液から血球を除いた液体成分を「血漿」(けっしょう)といい、血漿は水が9割を占めるほか「膠質」(タンパク質)などが主な成分となっています。

一方、間質液は血管の外、細胞の外にある体液です。この血漿と間質液を分けている血管壁にはすき間があり、水分や電解質が行き来して体液の調節を行っていますが、タンパク質の濃度が血管内の血漿は大きく、血管外の間質液では小さくなっています。タンパク質は分子が大きいため、血管壁を自由に通過することができないことから、この濃度の差が、間質液から血漿へと水を移動させる力、つまり血漿膠質浸透圧となります。つまり、血漿に含まれているタンパク質(主にアルブミン)の濃度が低くなると、間質液から血漿に水を引っ張る力が弱まって、浮腫が生じるようになるのです。

ナトリウム(塩分)がたまると浮腫になる原因は?

ナトリウム(塩分)が溜まってしまうことによる浮腫は、体内の水分と電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)のバランスを調節している腎臓の機能と大きく関係しています。

通常、血液中の水分やナトリウムは、腎小体の主要部である毛細血管などが集まった糸玉状の「糸球体」でろ過され、一部が尿細管に再吸収されて尿中に出ていきます。しかし、食塩をとり過ぎたり、急性糸球体腎炎などで糸球体に障害が起きると、ナトリウムと水分の排泄機能が低下し、タンパク質が尿中に排泄されます。結果として血液内にナトリウムが増え、血管内圧が上がって浸透圧により浮腫が生じます。

おわりに:浮腫の発生メカニズムを理解し、浮腫を予防しよう

浮腫が体に現れる背景には、血管内圧や血漿膠質浸透圧の変化が影響しています。ナトリウムのとりすぎなど、要因となることを避けて、日常的に浮腫を予防していきましょう。

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