記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的にリンパ浮腫は「適切にリスク管理をすることで、発症を抑制できる病気」にだと知られています。そこで今回は定期的にチェックすべき症状のポイント、普段から気をつけるべき対策法についてご紹介します。
リンパ浮腫の代表的な症状には「手足のむくみ」がありますが、それ以外にもさまざまな症状があります。具体的には病気の進行度に合わせて、以下のような症状が現れてきます。
なお、通常であればリンパ浮腫は痛みを伴わない病気です。しかし、むくみがひどくなった場合や、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を合併した場合には、痛みを伴うこともあります。
リンパ浮腫は「適切なケアに努めることで、発症抑止が期待できる病気」として知られています。そこで、まずは「リンパ浮腫が起きているか」を調べるための方法を紹介します。もし少しでも変化や違和感が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
なお、リンパ浮腫はどこにでも起こりますが、とくに乳がんの治療後はひじの上下に見られ、子宮がんや膀胱がんの治療後は脚の付け根、下腹部、陰部に見られやすいです。そのため、以下のことをチェックする際にはこういった部分に注意するといいでしょう。
リンパ浮腫が起こると皮膚の厚みが増して、静脈が見えにくくなります。また、健康な人の肌は肌色に見えますが、リンパ浮腫の方の肌は白っぽく見えます。
リンパ浮腫が生じると皮膚を、皮膚をつまみにくくなります。また、皮膚をつまんだ際に左右で厚みに違いが生じる場合もあります。そのほか、下着や靴下などのゴムの跡が残りやすくなったり、下着の締め付けを強く感じたりする場合にも注意した方がいいでしょう。
リンパ浮腫が起きると脚や腕が治療前に比べて太くなります。そこで定期的(毎月1回程度)に両腕や両脚の太さを計測しましょう。なお、計測のポイントは同じ場所を、同じ姿勢・力加減で、同じ時間帯に行うことです。1センチ以上の変化が出たら注意が必要です。
そのほかリンパ浮腫が進行すると、皮膚が乾燥したり、毛深くなったり、硬くなったりもします。また、蜂窩織炎を合併すると、皮膚の赤みなどの症状も現れます。
続いて、リンパ浮腫を予防するための具体的な対策方法についても紹介します。とくにセルフケア上「感染症(蜂窩織炎)」と「肥満」の予防・改善は重要なのでよく確認してください。なお、これらの対策はあくまでも医師の指示に従って行うようにしましょう。
スキンケアの目的は皮膚を清潔な状態に保ち、感染症のリスクを軽減することです。そこで自分に合った石鹸を使う、よくあわ立ててから洗う、保湿剤を使うなどのスキンケアに意識しましょう。また、切り傷や火傷といったケガや、皮膚を露出しないことも注意しましょう。
身体に負荷がかかると、リンパの流れが悪くなる恐れがあります。そこで、たとえば重い荷物はキャリーバッグで持ち運ぶ、就寝時は脚や腕を高くするなどを行いましょう。また、なるべく手術を受けた腕で採血や点滴、血圧測定、針灸などを受けないようにしてください。
リンパ浮腫を悪化させる要因の一つに肥満があります。そのため、適正な体重を目指すように、バランスの良い食事や適度な運動を心がけると良いです。ただし、過度な運動・スポーツは身体に負荷がかかるため、疲労感や筋肉痛が残らないくらいに控えましょう。
締め付けの強い下着や靴下を履くと、リンパの流れが悪くなってしまいます。そのため、なるべくゆったりとして、やわらかい素材の洋服を選ぶといいでしょう。また、指輪や時計、ブレスレットなどの装飾品も、腕や指を締め付けてしまうので注意してください。
リンパ浮腫は発症してしまうと治療が難しい病気ではあるものの、セルフケアに取り組むことで予防も期待できる病気です。なお、セルフチェックでむくみなどの違和感を覚えた際には、すぐに医師に相談し、適切な治療に取り組むようにしましょう。