記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/5
記事監修医師
前田 裕斗 先生
乳がんの早期発見には定期的な検診が効果的ですが、授乳中にも妊娠前と同様、引き続き一般的な乳がん検診を受けることは可能なのでしょうか?
今回は授乳中の乳がん検診について、受診の可否と授乳中に受けられる乳がん検診の内容を、まとめてご紹介していきます。
授乳中であっても乳がん検診自体は受けられますが、検診の内容は医療スタッフが乳房を触ってしこりを確認する「触診」と「超音波検査」の2つに限られます。
通常、乳がん検診では触診と超音波検査に加えて「マンモグラフィー検査」も実施しますが、授乳中の乳がん検診では行いません。
授乳中にマンモグラフィー検査を行わない理由としては、以下が挙げられます。
上記の通り、授乳中は乳腺・乳房の状態が通常とは異なるため、マンモグラフィーを避けて超音波検査をメインに検診が行われるのです。
「エコー検査」とも呼ばれる超音波検査とは、超音波を発する機械を身体の外から当てることで、反射してくる超音波の様子を画像にし、内臓の状態を確認する検査方法です。
乳がん検診の場合は、機械を乳房に直接当てて動かし、乳腺とその周辺にしこりやがんが疑われるような石灰化が起きていないかを確認していきます。
超音波検査では、触診では見つけられないような数ミリほどの小さなしこりも発見できるため、マンモグラフィー検査を受けられない授乳中の女性にはとても効果的です。
以下に、超音波検査のメリット・デメリットをまとめてご紹介しますので、授乳中の乳がん検診を受けるときの参考にしてください。
授乳をしていた人も、断乳から1年以上経過すれば、乳がん検診でマンモグラフィー検査を受けられるようになります。
マンモグラフィー検査とは、乳房にX線(放射線)を当てて検査を行う専用装置「マンモグラフィー」を使用した、乳房専用のレントゲン検査のことです。
乳がん検診では、超音波検査とあわせて一般的に行われている画像診断の一種になります。
具体的な検査手順としては、撮影台の上に左右の乳房を片方ずつのせて、病変を写すために透明な板で乳房を平たく圧迫し、乳腺の状態を撮影します。
一方向からだけでなく上下・斜めからも乳房を圧迫して撮影していくため、乳房の大きさに関係なく、検査には多少の痛みが伴います。
なお、放射線を使うため胎児への影響を考えて妊娠中の検査は避けるべきとされています。
以下に、マンモグラフィー検査のメリット・デメリットをまとめていますので、参考にしてください。
乳がん検診は授乳中でも受けられますが、検診内容は触診と超音波検査のみとなり、マンモグラフィー検査は受けられなくなるのが一般的です。ただし、授乳していた人も断乳から1年以上経過し、乳腺が通常の状態に戻ったら、マンモグラフィー検査を受けられるようになります。継続的な乳がん検診は乳がんの早期発見に非常に有効ですので、妊娠・授乳中でも受けられる範囲で、継続的に受診を続けてください。