結核の症状にはどんなものがある?感染したら必ず症状が出る?

2018/7/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

感染症として有名な結核ですが、結核に感染するとどんな症状が出るのでしょうか?また結核に感染したら、必ず発症するのでしょうか?発症の予防法と併せて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

結核を発症すると、どんな症状が出るの?

結核とは、結核菌が臓器などに感染することにより引き起こされる病気で、中でも肺結核になる人が多いとされています。
結核菌が肺に感染して増殖した場合、肺の組織が炎症を起こし、徐々にその範囲が拡大していきます。また、咳や痰が続くため、これらの症状が2週間以上継続する場合は、結核の感染が疑われます。

肺の組織の炎症が進むと、やがて化膿した組織が溶け出し、咳やくしゃみとともに肺の外に排出されて、病巣が空洞になります。そしてその場所で菌が増殖すると、呼吸機能の低下や他の臓器(腎臓、脊椎、腸など)への感染が起こり、血痰、息苦しさ、強い倦怠感、体重の急激な減少などの症状が生じます。

肺結核はさらに症状が重くなると、呼吸困難や他の臓器の機能不全などが起こり、生命に関わる深刻な状態になる可能性があります。このように、結核は放置しておくと重症化する恐れがあるため、早期治療をすることが必要です。

結核菌に感染したからって、症状が出るとは限らないの?

通常は結核菌に感染したとしても、免疫が結核菌の増殖を抑えられている間は発病にまで至らないことが多いです。ただし、体力の衰えや他の病気に伴い免疫機能が低下すると、結核菌の増殖を抑えられなくなり、結核菌が病巣を作り発病するようになります。

結核の症状を食い止めるためにできることは?

結核を発症しやすい人への注意点

喫煙者

喫煙習慣のある人は、結核を発症する確率が高まるとされています。特に吸うタバコの本数が多い人は、普段から咳や痰を誘発しやすくなっているため、結核の症状だと気付かずに重症化しやすいといわれています。また、受動喫煙は周囲の人の発症リスクまで高めてしまうため、禁煙をするようにしましょう。

糖尿病や胃潰瘍の人

糖尿病や胃潰瘍患者、人工透析を行っている人は、結核発症のリスクが高まるとされています。きちんと治療を受けて、体の状態を安定させましょう。

特定の治療薬を使用している人

喘息の治療などで副腎皮質ホルモン剤(ステロイド薬)を服用している人や、関節リウマチの治療薬であるTNFα阻害薬を服用している人は、結核発症のリスクが高まるとされています。結核と思われる症状があるときは、すぐに担当医に相談しましょう。

HIV感染症やAIDS(後天性免疫不全症候群)の人

HIV感染症やAIDS(後天性免疫不全症候群)の人は、結核に感染する可能性が高く、発病すると死亡リスクも高まります。適切な治療を受け、医師の相談のもと健康管理に十分気をつけましょう。

生活習慣を整える

結核に感染したとしても、免疫力の機能を維持して結核菌の活動を抑制できれば発病には至りません。免疫力を高めて結核を予防するには、規則正しい生活を心がけて健康的な身体を作ることが大切です。
質のいい睡眠をとる工夫と十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食生活、ストレスが溜まらないように適度に発散するなど、普段の生活習慣を見直していきましょう。

周囲の人にうつさない努力を

周囲の人に結核を拡げないためにも以下のことに注意しましょう。

  • マスクや袖などで口を抑え、咳やくしゃみの飛沫が周囲の人にかからないようにしましょう。
  • 食事をする際は、取り箸や取り皿を他の人と分けましょう(同じ皿や鍋から取らないようにしましょう)。

おわりに:咳が2週間以上続く場合は医療機関の受診を

肺結核の初期症状では咳、痰、発熱が続くため、風邪と間違われることが多いですが、2週間以上症状が続く場合は結核の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。また、感染後の発病を防ぐために、免疫力を高めることも大切です。健康的な生活習慣を送るように努力してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

喫煙(93) 結核(21) 感染(51) 症状(552) 出ない(1)