記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/29 記事改定日: 2019/7/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「結核の初期症状は風邪と似ている」という話がありますが、具体的にどんな症状が出るのでしょうか?感染や発病を防ぐ方法や病院に行った方が良いサインを紹介していくので、早期治療に役立ててください。
結核は肺や他の臓器で結核菌が増殖することで発病する病気です。日本国内では、肺結核の患者が8割を占めており、初期症状では風邪と類似した症状が起こります。
なお、近年の結核患者の割合は、70歳以上が6割を占めており、これは加齢で免疫力が低下するが主な原因と考えられています。
肺結核の初期症状は咳、痰、発熱など風邪と似た軽い症状しか現れないことが多いため、一般の人が症状だけで見分けることは難しいです。
2週間以上、下記のような症状が続く場合は肺結核の可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
肺結核を放置して重症化すると、血痰や吐血、呼吸困難など重大な症状が起こる可能性があります。肺結核は結核のなかでもゆっくり進行していく傾向があるため、深刻な症状が起きたときには既に危険な状態に陥っていることもあります。
また、肺結核を発病しているのに放置したままでいると、周囲に感染を広げるリスクが高くなります。
咳が長引いたり、少しでも症状に違和感を感じる場合はすぐに病院に行くようにしましょう。
結核菌に感染したとしても必ず発病するわけではありません。
結核菌は肺の中に感染しますが、感染すると免疫の作用によって「乾酪壊死」と呼ばれる硬い殻の中に閉じ込められ「眠った状態」になります。
この状態が続いているうちは結核菌が肺の中で悪さをすることはありませんので、咳や痰、発熱などの症状が現れず、もちろん他者に感染させることもありません。
感染者の8割はこのような状態で一生を終えるとされていますが、残りの2割の感染者は体調不良や加齢などによって免疫力が低下すると閉じ込められた結核菌の活動が再燃し、発病するのです。
発病する場合でも感染後すぐに症状が現れるのではなく、発病までには最低でも半年はかかり、一般的には2年程度で発病することが多いされています。
結核の予防では感染を防ぐことと、発症を防ぐことの2つが大切になります。
一番重要なのは免疫力を高めることで、結核菌が体内に侵入しても、免疫力が高ければ結核菌の活動を抑制し、発病を防ぐことができます。
免疫力を高めるためには、栄養バランスのとれた食事、質のいい睡眠、適度な運動など、規則正しい生活を心がけることが大切です。また、喫煙も発病率を高めるため、禁煙をしましょう。
なお、生活習慣の見直しに加えて以下のような対策を行うことも結核予防に効果的となります。
乳幼児は免疫力が弱いため、結核の発病率が高く、重症化しやすい傾向があります。
そのため、結核の症状の進行を防ぐBCGワクチンの接種を受けましょう。基本的には生後1歳までに接種します。
BCG接種は乳幼児の結核予防に効果的で、十~十数年間の予防効果が持続するといわれていますが、成人の結核にはあまり効果が得られないといわれています。
成人の結核予防では、定期的に健康診断を受け、結核の早期発見に努めることが大切です。乳幼児にBCG接種を受けた人も、成人になったら定期的に健診を受けましょう。
咳や痰などの症状が長引く場合は、健診を待たずすぐに医療機関を受診し、重症化や周囲の人への感染を防ぐことも大切です。
発病しているときは、咳やくしゃみの飛沫が感染の原因となるため、マスクや袖などで口元を押さえるようにしましょう。たとえ肺結核でなくても、咳やくしゃみが出ているときは口元を押さえることを習慣づけるようにしてください。
肺結核患者の初期症状では咳、痰、発熱など、風邪と似た症状が見られます。2週間以上咳が続く場合は、結核の可能性があるので、すぐに病院を受診してください。
また、日頃から栄養バランスのとれた食事、質のいい睡眠、適度な運動などの規則正しい生活を心がけ、そもそも結核を発病しないよう予防にも努めましょう。