デンタルフロスの使い方のポイントと注意点

2025/10/22

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

デンタルフロスは、歯ブラシではとりきれない歯垢を除去できる便利なオーラルケアツールです。デンタルフロスを使うことは虫歯や歯周病の予防につながり、口臭の予防にも役立ちます。この記事では、デンタルフロスを使うタイミングや使う頻度、使うときの注意点など、デンタルフロスの使い方のポイントについて解説していきます。

デンタルフロスを使うタイミングについて

歯垢は、歯に付着してから2日〜3日程度で石灰化が始まり、時間が経過するほど除去しにくくなります。歯磨きでは除去しきれない歯間などに溜まった歯垢は、できるだけやわらかいうちにデンタルフロスを使って除去することが望ましいといわれています。可能であれば、朝昼晩の1日3回、最低1回以上の頻度で、デンタルフロスを使って歯垢を除去しましょう。

デンタルフロスは、歯間の汚れを効率よく除去するオーラルケアツールです。歯に汚れがたくさんついている歯磨き前のタイミングでデンタルフロスを使うと、汚れを歯間の奥に押し込んでしまう恐れがあります。デンタルフロスは、歯磨きをした後のタイミングで使うことをおすすめします。また、デンタルフロスは、朝や昼よりも「夜寝る前」に使うことが大切といわれています。これは、睡眠中は唾液の分泌量が減るため虫歯の原因となる細菌が繁殖しやすく、夜寝る前にデンタルフロスで除去することで繁殖を予防できるからです。

デンタルフロスを使うときの注意点

デンタルフロスを使うと口の中がサッパリして心地よいため、1日に何度も使う人もいるようです。1日に3回以上デンタルフロスを使ってもとくに問題はありませんが、1日に蓄積される歯垢の量には限度があります。基本的には、1日1回のデンタルフロスをきちんと行えば、歯垢を除去できるといわれています。1日に何度使っても悪影響はありませんが、デンタルフロスは使う回数よりも「適切に使う」ことが大切になってきます

間違った方法でデンタルフロスを使うと歯茎に傷がつき、ひどいときには出血する恐れもあります。例えば、デンタルフロスを力を込めて一気に奥まで押し込んだり、歯茎に当たる位置で前後に激しく動かたりすることは止めましょう。デンタルフロスは、上下に動かして歯垢を絡め取ることを基本にし、前後に動かすときは激しく動かさないように注意してください。

なお、基本的には、デンタルフロスを使うことで歯の隙間が広がることはありません。デンタルフロスを使った後に歯の隙間は広がったように見えるのは、詰まっていた汚れが除去されたり、歯肉炎などの炎症が治まったりしたことで、広がって見えていることが原因になります。健康な歯であれば、基本的にデンタルフロスの力だけで歯そのものが動くことはありません。

おわりに:デンタルフロスは適切な方法で使うことが大切。就寝前のケアをとくに大切に

デンタルフロスは少なくとも1日1回以上、就寝前の歯磨きが終わった後に使うことを心がけましょう。可能であれば1日3回の頻度で行うことが望ましいですが、1日1回でも、適切な方法でやさしく丁寧に使って歯間を掃除することが歯や歯茎の健康を保つことにつながります。この機会に、就寝前の歯磨き後のデンタルフロスのケアをぜひ習慣化してください。

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