乳がん検査のエコー検査とマンモグラフィーの違いって?

2018/7/14

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

乳がん検査の方法として、エコー検査とマンモグラフィーとがありますが、両者の違いとはいったい何なのでしょうか?メリットやデメリットなどを中心にわかりやすく解説します。

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乳がん検診で行うエコー(超音波)検査って?

「乳がん検診=痛い」というイメージを持っている人は少なくなく、そのイメージから乳がん検診は敬遠されがちですが、近年では超音波を使い、痛みを伴わない検査方法である乳腺エコー検査もあります

エコー検査では、乳房表面に専用のゼリーをよく塗った後、その上からプローブと呼ばれる機械をすべらせて、乳房内部を診ていきます。これは、超音波という人が聞くことのできない高い周波数の音波を臓器にあてて、跳ね返ってきた反射を画像に表示させる検査方法です。体に無害で、リアルタイムで臓器の様子を観察することができ、検査時間も約10分で終わります。

エコー検査では触診で発見したしこりの性状を観察することはもちろん、乳腺の状態を調べたり、触診で見つけられないしこりを発見したりすることも可能です。

この検査方法が向いている人は、マンモグラフィーで異常の見つかりにくい若い方、乳腺の脂肪化の進んでいない方、過去にエコーで異常があった方などです。過去にマンモグラフィーで異常があった方と40歳以上の方は、2年に1度はマンモグラフィーも受診しましょう。

もうひとつの乳がん検診、マンモグラフィー検査ってどんなもの?

「乳がん検診=痛い」イメージのもととなっているマンモグラフィー検査ですが、これは乳房専用のレントゲンです。

マンモグラフィー検査では、X線フィルムを入れた台と、透明なプラスチック板に乳房を挟んで薄くのばし、上下左右それぞれの方向から撮影をします。検査時間は15~20分で、エコー検査より時間がかかります。

マンモグラフィー検査は、一般的に30歳以下の方にはすすめられません。というのも、若い世代は乳腺濃度が濃く、マンモグラフィーでは乳がんが発見できないことが多いからです。30歳以下の方は月に一度、自分で乳房を見て、触って異常がないかチェックする、セルフチェックを習慣づけておくとよいでしょう。

エコー検査とマンモグラフィーのメリット・デメリットは?

エコー検査とマンモグラフィーでは、個人の状態によって適切な検査方法が異なります。

エコー検査のメリットは、被爆がないため妊娠中でも検査することが可能だったり、痛みなく検査できたり、小さなしこりでも見つけやすくてしこりの質的診断がしやすいことが挙げられます。
反対にデメリットとしては、がん以外の良性の所見も見つけやすいので再検査となる可能性が高く、石灰化の評価がしづらかったり、エコー検査を行う者の技量に依存することが挙げられます。

マンモグラフィーのメリットは、石灰化や乳腺の全体像をとらえやすく、検診受診の継続によって、乳がんでの死亡率が低下することです。これは統計学的にも証明されています。また、撮影方法が定められているため、過去の画像と比較しやすいこともメリットです。
一方、デメリットとしては、感じ方の個人差はあるものの、乳房を圧迫するため多少の痛みを伴います。そして全身に影響したり、骨髄抑制や白血病、発がん等の可能性があがったりすることはありませんが、多少の放射線被ばくがあります。

エコー検査とマンモグラフィー、どっちがおすすめ?

エコー検査とマンモグラフィーでは、前述したようにそれぞれ特徴があります。どちらの検査が良いといったことではなく、両方の検診を併用することが最も確実です。
ただ、年齢が若いうちはエコー検査のみでも十分ですので、乳がん検診が痛いといったイメージは捨てて、気軽な気持ちで検査を受けてください。

なお、乳がんは細胞分裂により少しずつ大きくなるため、初期の成長は遅く、良性か悪性か見分けられる2mmの大きさになるまでかなりの時間がかかります。それ以降になると急速に成長し、約5倍の大きさまで1年半ほどで大きくなります。
乳がんの種類によってはこれよりも早いスピードで大きくなることも考えられるので、年に1度は乳がん検診を受けましょう。

また、乳がんは自分で気づく人も多い病気です。チェックに慣れている人であれば1cmほどの大きさで気づくことができ、チェックに慣れていない人でも2~3cmの大きさで気づくことができます。お風呂場などで石鹸を付けて滑る状態にして、乳房の内側、外側、わきの下や乳頭など、乳房全体を丁寧に触ってチェックしましょう。

おわりに:定期的な検診で乳がんの早期発見を

乳がん検診でのエコー検査とマンモグラフィーには、それぞれ異なるメリットやデメリットが存在します。こまめなセルフチェックと定期的な検診で乳がんの早期発見に努めましょう。

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