記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/6 記事改定日: 2018/8/23
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、感染症科
上田 晃弘 医師
HIVとはヒト免疫不全ウイルスのことで、感染すると免疫機能が破壊され、合併症であるエイズ(後天性免疫不全症候群)を引き起こすウイルスです。エイズを発症しないためには感染後の速やかな発見と治療がカギですが、HIVには潜伏期間があるため、感染してもなかなか気づけないケースもあります。そこで今回はHIVの潜伏期間について、解説します。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると、初期症状として発熱・のどの痛み・倦怠感・下痢など風邪のような症状が出てきます。これらの症状は特に治療することなく自然に改善するため、HIVに感染したとは気づかれないことが多く、その後はしばらく無症状の時期が続きます。
ただし無症状の間も免疫機能の低下は進んでいき、やがて免疫機能の低下によるさまざまな疾患を発症します。このような疾患を発症するとエイズ(後天性免疫不全症候群)と呼ばれます。このようにHIV感染症とエイズは同じものではありません。
HIVに感染してからエイズとしての症状が出るまでの期間には個人差があり、HIVに感染してすぐにエイズを発症するわけではありません。HIVの感染からエイズ発症に至るまでの期間は人によって大きく異なり、短くて6か月、長いと15年以上にもなるといわれています。
人によってはエイズの発症に長い時間を要し、感染そのものに気づかないケースもあるHIV感染症ですが、自覚症状がなくてもHIVに感染した人の約半数は、感染から10年以内に発症するといわれています。
感染からエイズ発症までの期間が15年以上まで長くなることもあるHIVですが、無症状の間にも、HIVは確実に体内で増殖を続けています。このため、たとえエイズ未発症で自覚症状がまったくない場合でも、感染していれば本人も気づかないうちに他者にも感染拡大させてしまうリスクがあるのです。
症状の有無ではHIVに感染しているかどうかわかるわけではないため、症状の有無にかかわらず、日ごろから下記のポイントに注意して過ごしましょう。
上記の予防策を徹底することで、自分だけでなく、大切なパートナーや家族をHIV感染から守ることにもつながります。
もしHIVに感染していても、早期に発見して適切な治療を受けることでエイズの発症を避けることができ、健康な人と変わらない生活を送ることも可能です。
感染が疑われる機会があった場合には、自分とパートナーのためにも、その後2~3か月以内を目安にHIV感染の有無を調べる検査を受けることをおすすめします。
HIVの感染からエイズの発症までには期間があり、感染してもすぐに発症するわけではありません。感染からエイズを発症するまでは、短ければ半年、長ければ15年以上もの長期になることもあり得ます。
ただし、未発症で何の自覚症状もない潜伏期間でもHIVは感染力を持っています。自覚がないままHIV感染を拡げてしまわないよう、有効な感染防止策を知っておいてください。