記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「がんが再発した」というフレーズを耳にしたことがあるかと思いますが、そもそもがんの再発とはどういう意味なのでしょうか。再発を予防する方法はないのでしょうか。
「再発」とは、治療を行い目に見える大きさのがんがなくなった後に、再びがんが現れることです。手術で取り切れなかった目に見えないほどの小さながんが残っていたり、治療で縮小したがんが再び大きくなるといった場合が該当します。
また、同じがんが別の場所にできる「転移」も再発の一種です。転移では、最初に発生したがんが、血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官に移動します。移動した先でがんが再び増殖をはじめ、新たな場所でがんを出現させるのです。
転移が多くみられるのは、リンパの流れが集まるリンパ節です。肺や肝臓、脳、骨なども血液が多く流れる場所であるため、転移が見られやすくなります。
がんの再発を予防するために行われる治療には次の4つがあります。
抗がん剤は、がん細胞の分裂を抑えたり死滅させるため、場所を特定できないがん細胞の全身療法として使われます。ただし、正常な細胞も攻撃するので脱毛は吐き気などの副作用が起こりやすいでしょう。
放射線療法は、がん細胞のDNAを狙い撃ちして分裂を防ぎます。比較的小さながんの治療に適しています。治療中に痛みなどを感じることはほとんどありません。皮膚の発赤やヒリヒリ感が副作用として現れることがありますが、2~3か月で軽快します。
分子標的治療薬は、がんの増殖にのみ関わる分子に直接作用する薬を服用することでがんの成長を止める治療法です。比較的新しい方法で副作用も少ないですが、薬代が高価で経済的負担が大きくなる場合が多いでしょう。
ホルモン療法は、がんのえさとなるホルモンを断つことでがん細胞の成長を妨げる治療法です。乳がんや子宮体がん、前立腺がんなどに効果があります。ただし、がん細胞の性質によっても治療の効果に差があるため、手術で切除したがん細胞を調べたうえで治療が適当かの判断を行います。抗がん剤と同じように、全身療法として使われます。副作用は少なく、手術後の再発予防に適しています。
ただし、このような治療を全てを行えば予防の効果があがるというものではありません。再発したがんの状態や自分の体調と相談しながら、今の状況に最も合う方法を主治医と判断することが大切です。
がん治療を行っていても、残念ながら再発したりがん細胞が大きくなることもあります。「がんがなくならない」ことや「治らない」ことを受け入れることは、すぐには難しいでしょう。しかし、効果がないからといって治療ができないわけではありません。
気持ちが落ち着いてきたら、これからの治療や生活について考えていきましょう。どのような治療を行い、どんな支援を受けたいのか、今後をどう過ごしていくのかを、家族や主治医とよく話し合い治療の方針を決めていってください。
がんが再発してしまった場合でも、治療ができないわけではありません。それまで行っていた治療目的が「がんの再発予防」から、「がんの症状の緩和」へシフトしていくようになります。再発しても落ち込まず、自分がどのような生活を送りたいのかを家族や主治医とよく話し合い、自分の納得できる治療を行っていきましょう。