記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
代表的ながんの治療方法には「手術によるがんの切除」「抗がん剤による化学療法」「放射線照射による放射線治療」の3種類が挙げられます。
今回はがんの治療法のうち放射線治療について、治療の内容と頻度、そして治療によって周囲の人に影響が及ぶ可能性があるのかなどを解説していきます。
放射線治療は、がんのある部位に放射線を照射して細胞分裂を阻害し、がん細胞の増殖・転移を抑えるために行われる治療方法です。これは、正常な細胞とがん細胞では放射線に対する抵抗性が異なり、がん細胞の方が放射線からのダメージを受けやすく、回復に時間がかかるという性質を利用しています。
ただし、がん細胞・腫瘍に効果のある強さの放射線を短時間に照射すると正常な細胞・臓器まで傷つけてしまいます。つまり、正常な細胞に比べて回復の遅いがん細胞に重点的にダメージを与えるには、正常な細胞がきちんと回復できる程度の少量の放射線を継続的に当てることが必要になっていきます。
このように、がんの放射線治療には「毎日少しずつ、短時間の照射が継続的に」必要になるため、1~2か月間毎日治療を受けなければならないのです。
がんのために放射線治療を受けていても、基本的には周囲の人に放射能汚染などの悪影響を及ぼすことはないといわれています。
放射線と聞くと原子爆弾や原子力・放射能汚染など危ないイメージがあり、自分が治療を受けることで周囲に悪影響があるのではと考える人もいますが、少量の放射線を身体の外側から当てるがんの放射線治療では、患者の身体自体が放射線を発する状態になることはありません。
身体の中に放射性物質を入れて放射線治療を行うケースもありますが、特に医師から注意・指示がない場合は、周囲への汚染の心配はないとされます。
このため、放射線治療の期間中であっても家族・友人・知人とは普通に接してもOKですので、安心して治療を受けてください。
放射線治療には、身体の外側から患部に向けて放射線を当てる「外部照射」と、体内の細胞・臓器周辺に放射線を当てる「内部照射」があります。
外部照射・内部照射のうちどちらか、または両方の治療を併用するかどうかの決定は、目的や患者の状態などを加味したうえで、医師が行います。
以下に、放射線治療の具体的な手順をご説明しますので、参考にしてください。
あらかじめ身体につけておいたマーキングを目印に照射する部位を確認し、診療放射線技師が放射線を照射します。
1日あたりの治療にかかる時間は10~20分が目安で、これを週5日程度1~2か月継続して行います。ただし、照射する時間や期間は場合によってことなります。
放射線源となる放射性物質を、注射器やカテーテルなどを使って体内に挿入し、がんの性質や位置にあわせた時間・方法で放射線を当てていきます。
1回の治療にかかる時間と方法はがんと放射線源の種類によって異なり、以下のような複数のパターンが考えられます。
ここでは、放射線治療を受ける前に知っておきたい治療のメリット・デメリットをそれぞれご紹介していきます。
がんのために放射線治療を受けるかどうかを決める前に、きちんと確認しておきましょう。
がんの放射線治療は、正常な細胞とがん細胞の放射線への抵抗性の違いを利用しているので、毎日少しずつの照射を1~2か月続けることで効果を得られます。治療期間が長期になりますが自宅からの通院も可能です。副作用や内部照射する場合の周囲への影響など懸念点もありますが、仕事を続けながらでも行える魅力的な治療法といえます。この記事で放射線治療のメリット・デメリットを理解して、治療の選択に役立ててください。