女性特有のがんの検査は痛いって本当?どうして痛いの?

2018/7/18

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

がんは日本人の2人に1人がかかるともいわれており、女性特有のがんである乳がんや子宮頸がんなどは年々増加しているといわれています。今回は、このような女性特有のがんの検査方法などについてご紹介します。

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女性特有のがん、乳がんと子宮がんとは?

女性特有のがんには、主に乳がんと子宮がんの2種類が挙げられます。

乳がん

乳房の乳腺にできる悪性腫瘍を「乳がん」といいます。乳がんはおよそ9人に1人が発症するといわれ、日本人の女性が発症するがんの中のうち、約20%を占めています。発症年齢のピークは40歳代後半~50歳代ですが、20歳代から発症する方もいて、30歳代後半から増加することも特徴のひとつです。

乳腺は乳腺葉といわれる15~20個の組織からつくられ、母乳をつくる「小葉」と、小葉からできている母乳を乳頭までつなぐ「乳管」にわけられます。このうち、乳がんの約95%が乳管から発生する乳管がん、残りの約5%が小葉にみられる小葉がんといわれ、検査によってどちらのがんなのかを区別することができます。

他にも特殊なタイプの乳がんはありますが、あまり多くはないといわれています。また乳がん全体の約4~5割が乳房上部の腋周辺にできるといわれ、複数の箇所にがんが見つかる場合もあります。早期では自覚症状がみられない場合が多く、進行するにしたがって乳房のしこりなどの症状がみられるようになります。

子宮がん

子宮がんは、主に「子宮頸がん」と「子宮体がん」にわけられます。子宮頸がんが多くみられるのは、子宮の入り口である子宮頸部あたりです。正常な細胞ががん細胞となって広がっていくまで、約5~10年以上という長い時間がかかります。また婦人科の診察で観察などがしやすいため、発見されやすいがんとしても知られています。発症は20歳代後半から増え、30歳代後半から40歳代にかけてピークになります。
子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれ、子宮の奥にある子宮内膜に多くみられます。ただし内膜は月経のときに剥がれて体外に排出されるため、閉経前に子宮体がんになることはまれだといわれています。そのため、発症は40歳代後半から増え、50~60歳代にピークになることで知られています。

女性特有のがんの検査ではどんなことが行われる?

乳がんと子宮がんの検査には、それぞれ主に以下の方法が考えられます。

乳がん

乳がん検診は、触診や視診、マンモグラフィーなどを行い、さらに詳しい検査を必要とする場合に病理検査などで細胞を直接採取する精密検査が行われます。精密検査になる方は乳がん検診を受けた方の約6%といわれ、精密検査を受けて乳がんと診断される方も約5%といわれています。

また乳がんと診断された場合でも早期発見であればほとんどの乳がんは治るといわれているため、早めの検査を受けることが望まれます。以下にそれぞれの検査方法をご説明します。

視診、触診

視診では乳房の大きさ、形、皮膚のただれや異常な分泌がみられないかなどを医師が総合的に目で観察します。また触診では乳房を触ることで、しこりがないかどうかをチェックします。しこりがみられた場合にはしこりの大きさ、硬さなども確認するといわれています。

マンモグラフィー

マンモグラフィーは乳がんの初期症状といわれる、石灰化などを見つけるための検査です。乳房をプラスチックの板で挟み、X線で撮影して検査を行います。圧迫される時間は数秒~10数秒程度ですが、痛みを感じる場合もあります。過去のフィルムとの比較で、些細な変化も見つけることができますが、特に乳腺が発達している20~30歳代の若い人の場合は、乳房の大きさにかかわらず痛みを強く感じることがあります。

超音波検査

乳房に超音波を出す器具をあて、写し出された画像を見て診断する検査です。マンモグラフィーでは乳腺密度の高い若い人の場合、しこりを見つけにくい特徴があります。しかし超音波検査では乳腺密度にかかわらず、手には触れることのないしこりをみつけることができるといわれています。

またしこりの内部も見ることができるため、しこりの性質も検査である程度わかると考えられています。ただし、乳がんの初期症状である石灰化は見つけづらいため、可能であればマンモグラフィーとの検査の併用が勧められる場合もあります。

子宮がん

子宮内膜にみられる子宮体がんの場合、子宮内膜を少しとって細胞などに異常がないかを調べる病理検査を行うことがあります。個人差はありますが、奥の方にある子宮内膜をとるため、多少の痛みや出血がみられる場合もあります。

また内診や超音波検査、MRI検査などを行って、がんが広がっているかを調べることもあります。一方、子宮頸がんの場合、視診でおりものなどの状態を確認した後、子宮頸部のまわりの細胞を綿棒などでこする子宮頸部細胞診を行います。腟を広げるために器具を入れるため、人によっては痛みを感じる場合もあります。その後、場合によっては精密検査をすすめられることもあります。

あまり痛くならない方法でがんの検査を受けるには?

検査の際に痛みを抑える方法としては、乳がん検診のマンモグラフィーの場合、月経から7~10日前後の時期に受けた方が良いといわれています。これは月経前の1週間前後は乳房が張ることで痛みに敏感になる場合があるためです。

また内診や子宮頸がん検診などの場合には、リラックスした状態で検査を受けることが痛みを和らげるポイントといわれています。また、腟を拡げる器械のサイズを小さくすることで痛みを軽減できることもあります。

ただしそれでも痛みが強い場合など、検査を継続できないようなときには医師に相談してみると良いでしょう。検査前に不安な気持ちを打ち明けることで、場合によっては医師などから検査時の身体の位置などをアドバイスしてくれることもあります。また、必ず検査をしなければならない状態なのか、それとも経過を見てもいいものなのかの判断を仰げますし、必要があれば麻酔下に細胞や組織を取ることも検討されます。

おわりに:がん発見のために、定期検査をしよう!

女性特有のがんの検査の痛みには個人差があり、強い痛みを感じる人もいれば、まったく感じない人もいます。痛みを完全に防ぐことは難しいですが、女性特有のがんは早期発見と治療によって治る可能性が高くなるといわれています。定期的に検査を行い早期発見に努め、痛みの不安があるときは医師に相談しましょう。

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