記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/24 記事改定日: 2019/5/31
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
褥瘡とはいわゆる床ずれのことで、寝たきりの人に起こります。ただ、車いすに座っていることが長い人にも起こることがあることをご存知でしょうか。
この記事では、座っているときにできやすい褥瘡の部位や、対処法を紹介します。
寝たきりでなくても、車椅子などに座っている時間が長い場合に褥瘡ができることがあります。車椅子などに座っている姿勢が長い場合、褥瘡は以下の4か所にみられることが多いです。
褥瘡は骨が突出している部分にできやすくなります。肩甲骨部は、車いすの背もたれの上端に触れる部分なので、長時間の座位で徐々に負荷がかかります。尾骨部と座骨結束部は、お尻周りの骨が突き出た部分であるため、最も体重がかかる部位となります。痩せている人では、車椅子の座面下の金属部分が当たって痛みを訴えることも少なくありません。
そして、意外と盲点なのがひじです。車いすにはひじかけがあり、ほとんどの人が腕をひじかけに乗せています。ところが、麻痺などがあって腕を自由に動かせない人の場合、ひじに負荷がかかってしまい褥瘡になることもあるのです。
また、リクライニング車いすを使用している場合では、後頭部も褥瘡ができやすいといえます。後頭部はリクライニング車いすの頭を支える部分と接触するため、同一姿勢が続くことで負荷がかかります。リクライニング車いすを使用している人のほとんどは体の動きに制限があるため、自分で頭を動かせない人も多く、長時間座りっぱなしになると頭に褥瘡ができてしまうのです。
褥瘡予防で最も大切なことは、1個所に長時間体重がかからないようにすることです。車椅子などに座る場合には、良好な姿勢を保てるように車椅子や椅子を調整する必要があります。この調整は「シーティング」と呼ばれています。
車椅子の場合、次の5つに注目して調整を行います。
車椅子の座面がたわんでいると、座る姿勢が不安定になりがちです。座面がしっかりしたものを使うのが一番ですが、難しい場合はクッションで調整します。車椅子用のクッションは種類も豊富で、機能もさまざまです。使う人に合うものを選定するようにしましょう。
また、背もたれも上手に使うと体重を分散できます。トータル的なバランスを見ながら、背もたれも積極的に活用しましょう。
一般的な車椅子の場合、肘つきの支持面積は狭くなっています。円背などで前屈になりやすい場合には、クッションやテーブルなどを活用すると良い姿勢を保つことができます。また、足の高さも良好な姿勢をキープするうえで重要なポイントとなります。フットレストにとらわれず、足の高さに合った足台を使うなど、柔軟に対応しましょう。
車椅子に座った状態で日中の大半を過ごす人は、お尻や肘、腰など圧がかかりやすい部位に褥瘡ができる危険があります。褥瘡を防ぐためには、1~2時間に一度は座りなおして体勢を変えることが大切です。
座りなおすときは、転倒や転落に十分注意し、圧がかかっていなかった部位を接地面にするとよいでしょう。タオルやクッションなどを挟んで横を向かせたり、圧を避けるように工夫しましょう。
褥瘡予防に大切なのは、同じところを長時間荷重しないことです。シーティングで安楽な姿勢をキープしていても、骨が突出している部分にはどうしても体重がかかってしまいます。定期的に座り直しを行ったり、手を入れて除圧を行うなどして、体重分散するようにしましょう。体を揺らしたりするだけでも部位によっては除圧になります。介助される人、する人の両方が負担が少ない方法で、無理なく行い褥瘡を予防しましょう。