人工甘味料は糖尿病のリスクを高める!?

2018/7/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「カロリーゼロだけど甘い」、人工甘味料入りの飲料や食べ物は、健康志向の人にとって心強い味方です。しかし近年、この人工甘味料は糖尿病の発症リスクを高める可能性があると指摘され始めています。その理由について、以降で詳しく解説していきます。

人工甘味料は糖尿病のリスクを高めるって本当?

人工甘味料は、砂糖と比べて低カロリーな上に甘みが強いことから、カロリーの過剰摂取や血糖値の上昇を抑える効果があると考えられています。しかし一方で、人工甘味料の代表的な摂取源であるダイエット飲料は、糖尿病の発症リスクを高める可能性があるとも指摘され始めています。

その理由となるのが、2014年にイギリスの科学雑誌ネイチャーが発表した人工甘味料の一種・サッカリンが腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:腸内フローラのこと)を変化させ、耐糖能の異常をもたらした」という研究報告です。耐糖能とは血糖値を正常範囲に保つ能力のことで、耐糖能異常があると血中のブドウ糖をうまく処理できないために、糖尿病の発症リスクが上がるとされています。

人工甘味料と糖尿病リスクの関連性を指摘した研究は、これだけではありません。アメリカのワシントン大学医学部の研究者によって実施された、超肥満者を対象とした実験によれば、「初回来院時に水を飲んだ後でブドウ糖を摂取して血糖値を測定し、2回目の来院時ではスクラロース(人工甘味料の一種)入りの飲料を摂取して血糖値を測定したところ、後者の方が血糖値の上昇幅が大きく、インスリンの分泌量も増加した」そうです。インスリンの分泌量が多い状態が続けば、インスリンの血糖値を下げる作用が鈍くなるため、2型糖尿病の発症リスクを上げる恐れがあります。

また、フランス国立保健医学研究所でも、人工甘味料のリスクを指摘する研究結果が出ています。6万6千人の中年女性を対象に、砂糖入りの炭酸飲料と人工甘味料入りの炭酸飲料の影響を比較したところ、特に後者を1週間に500mL以上摂取している人は前者よりも2型糖尿病の発症リスクが15%上昇、1.5L以上摂取している人は59%も上昇したとのことです。

人工甘味料は血糖値に影響する?しない?

「人工甘味料は血糖値に影響する可能性がある」とする指摘がある一方で、人工甘味料自体は血糖値には影響しないとする見解も存在します。

アメリカ・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校食品栄養科学部のNichol氏らによる、741人を対象とした、4種の人工甘味料(アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、ステビオール配糖体)が血糖値に及ぼす影響についての調査結果によれば、「人工甘味料を摂取しても血糖値がベースライン時から上昇することはなかった」そうです。なお、多くの研究は人工甘味料入りの食品や飲料を対象にしたものですが、この研究は人工甘味料を単独で摂取した場合の結果を示したものです。

ただ、だからといって人工甘味料入りの飲み物や食べ物を無制限に食べてもいいわけではありません。そもそも人工甘味料にはブドウ糖は含まれていないため、人工甘味料を摂取しても基本的には血糖値は上昇しないと考えられていますが、血糖値が上昇しないと脳は食事量が足りないと錯覚し、食べ過ぎを促す恐れがあるともいわれているのです。

また、人工甘味料は砂糖よりも甘さが強いため、その甘さに慣れてしまうと味覚が鈍くなり、より甘いものを求めてしまう恐れがあるとも指摘されています。

おわりに:人工甘味料の常用は、糖尿病リスクの上昇につながる恐れが

「人工甘味料は血糖値に影響しない」「糖尿病の発症リスクを低減させる効果がある」と考えられていましたが、近年の研究では一概にそうは言い切れなくなってきています。過信して常用してしまうと、かえって糖尿病リスクの上昇につながる恐れはあるので、適量の摂取に留めるようにしましょう。

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