記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
突然、子供が発熱を伴う嘔吐をした場合、どんな病気の可能性があるのでしょうか?病院に行くべき嘔吐のサインなども詳しく解説していきます。
小さな子供が嘔吐したときには、さまざまな原因が考えられます。その中でもいわゆる“おなかの風邪”を、原因として思い浮かべる人が多いかもしれませんが、直接の原因は風邪そのものではなく、ウイルスによって引き起こされる胃腸炎です。有名なのは「ロタウイルス」や「ノロウイルス」などの菌です。
しかし、ほかにも嘔吐を引き起こす病気はたくさんあります。腸閉塞や急性虫垂炎、そしてケトン血性嘔吐症といういわゆる”自家中毒”と呼ばれるものです。
自家中毒の多くは、ストレスなどの心因性のものとされており、嘔吐を周期的に繰り返します。環境の変化や緊張などにより、血液中にケトン体という物質が大量に生成されるのが原因です。熱や下痢などがないのに嘔吐がある場合、そして尿を検査してケトン体が急増している場合は、自家中毒の可能性が高まります。
自家中毒の場合、熱などの症状はありませんが、ウイルス性胃腸炎以外で発熱や頭痛があるとき、「髄膜炎」という病気が疑われます。髄膜炎は風邪とよく似た症状が見られる病気で、全身の倦怠感、頭痛、高熱、嘔吐などが起こります。さらに進行すると、けいれん、意識障害を起こして危険な状態に陥ることもあります。
髄膜炎には、ウイルス性と細菌性の二種類がありますが、細菌性の場合は、重症化する場合もあるので注意が必要です。入院して抗生物質の投与による治療を行う必要があります。細菌性髄膜炎の原因は主に、ヒブと何種類かの肺炎球菌とされ、保育所など小さな子供が集団生活をする場でよく見つかります。これらの菌が血液の中に入ってしまったときなどに症状が表れるのです。
大人でも子供でも、体調を崩すのは突然のことです。しかし特に子供が嘔吐をしたときは、病院が休みだった場合、どう対処するべきか悩んでしまうでしょう。
たとえば、少量ずつであっても何か飲んだり、食べたりできている場合や、嘔吐の回数が少ない場合などは、いったん様子を見てもいいかもしれません。
しかし、嘔吐が止まらない、血液や緑色の吐しゃ物を吐いている、水分・食事がとれない、尿が出ない、血便が出る、激しい腹痛がある場合などは、医療機関を受診させた方がよいでしょう。
また、具合が悪くなる前に頭を打っているなどのことがあった場合も、注意が必要です。平日であればすぐに病院へ連れていき、夜間・休日の場合は電話で相談してください。
嘔吐の原因は、いわゆる“おなかの風邪”ではなく、ウイルス性の胃腸炎が直接の原因です。また、ストレスによる自家中毒といった心因性のものもあります。嘔吐・発熱がおさまらない、水分や食事もとれない、排せつに異常があるなどの場合は、医療機関を受診させましょう。