記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/8/7
記事監修医師
前田 裕斗 先生
乳房のなかの乳腺にできるがんを「乳がん」といいますが、進行してがん細胞の増殖が進むと、体液に乗ってがん細胞が全身に運ばれて転移を起こします。
今回は乳がんが転移するとはどういうことか、リンパ節や他の部位への転移が確認された場合の治療法とあわせて、解説していきます。
がん細胞が血液やリンパ液など体液によって運ばれ、運ばれた先の組織・臓器で増殖することを「がんの転移」といいます。
転移はどのようながんでも起こり得ますが、特に脇のリンパ節に近い位置で発生する乳がんは、リンパ液に乗って早期にがん転移が起こやすいことで知られています。
乳がんから転移しやすい部位としては、乳房近くの皮膚・骨・リンパ節をはじめ、乳房から遠く離れた肺・肝臓・脳への転移まで幅広い部位が挙げられます。転移先が乳房に近い場合は発見されやすいですが、乳房から遠い位置に転移した場合は自覚症状も少ないため、気づかず症状が進むケースも珍しくありません。
乳がんがリンパ節・骨・肺・脳などまで遠隔転移した場合は、手術によって局所的に取り除くのが難しい場合があり、また全身へ転移している可能性もあることから全身への効果が期待できる薬物治療を行うことになります。
化学療法・ホルモン療法・分子標的治療などを試して効果のあるものから継続使用し、効果が見られなくなったら、また別の治療方法に移っていきます。
遠隔転移のみられた部位によっても選択される治療内容は変わり、例えば骨・肺・脳の遠隔転移には、それぞれ以下の治療方法が積極的に採用されます。
ただし、遠隔転移の起きた乳がんを完治させることは非常に難しいです。このため、治療の目的はあくまでがんの進行を抑え、症状を緩和して患者のQOLをキープすることに絞られていきます。
がんのなかでもリンパ節に近い位置に発生する乳がんは、比較的早期から細かな転移を起こしやすいことが知られています。このため、触診や画像診断で発見する前に、リンパ節や骨・皮膚・脳など他の臓器にまで遠隔転移を起こすことも珍しくありません。遠隔転移を起こした乳がんは完治が難しいですが、症状と進行の緩和のために薬物療法などの対症療法を行うことになります。