記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
脂漏性皮膚炎になると、頭皮にかゆみや痛みが起こります。そのつらさを解消するには、適切なケアが必要です。では、脂漏性皮膚炎のときはシャンプーをしてもいいのでしょうか?
この記事では、頭皮の脂漏性皮膚炎のケア方法や、発生しやすい抜け毛対策についてもご紹介します。
頭皮に脂漏性皮膚炎ができてしまった場合、対策として何より大切なのは頭皮を清潔に保つこと、そして頭皮に刺激を与えすぎないことです。
頭皮が敏感な状態なので、刺激を与えてしまうと悪化する恐れがあります。刺激の少ないシャンプーを選びましょう。また、ミコナゾールという抗真菌成分を含んだシャンプーやリンスが脂漏性皮膚炎に効果があることがわかっています。
お湯の温度が高すぎるとそれも刺激になってしまうので、少しぬるめのお湯を使います。そしてシャンプーをする前に、すすぎに時間をかけてお湯だけで汚れを落としましょう。使うシャンプーの量と時間を短縮でき、頭皮への負担も減ります。
そして洗う際は指の腹を使い、爪を立てて頭皮に傷を付けないよう気を付けて洗ってください。いつもよりも念入りに、洗い残しがないように意識しながらシャンプーをすると、くまなく洗えるでしょう。
洗い終えたら、シャンプーが頭皮に残ってしまわないように丁寧に洗い流してください。シャンプーの成分は刺激物なので、頭皮の残ると炎症の原因となります。
頭皮の汚れを落とすために、1日に何度も洗うと逆効果です。頭皮に必要な皮脂まで失われてしまい、外部から受ける刺激に敏感になって頭皮環境が悪化してしまいます。1日1回夜に洗うだけで十分ですが、気になる場合でも朝と夜の2回にとどめ、洗いすぎないように注意しましょう。
脂漏性皮膚炎になった場合、脱毛や薄毛を起こす可能性があるといわれています。元々脂漏性皮膚炎は頭皮に皮脂がたまりやすい状態なので、育毛にいい環境とはいえません。
その状態にプラスしてかゆみを感じるため、無意識のうちにかきむしってしまい頭皮が傷つけられ、その影響で頭皮が炎症して毛穴の奥にまでダメージが広がります。炎症してしまった頭皮はうまく髪の毛を育てることができなくなり、正常なヘアサイクルが乱れてしまうのが原因です。また、フケも増えて毛根が詰まることも原因となります。
少しでも脱毛や薄毛を抑えようと、育毛剤を使う人もいます。しかし、実はこれは逆効果です。頭皮に余計な刺激が加わってしまい、より炎症が広がってしまいます。脂漏性皮膚炎によって発生する脱毛や薄毛は、まず脂漏性皮膚炎を治すのを最優先として考えましょう。
軽度の場合は炎症を抑えるための抗真菌薬の塗り薬が処方されます。ただし、抗真菌薬は副作用の症状が少ない一方、効果が出るまでに時間がかかったり、ひどい症状には効果が感じられないこともあり、その場合は速やかに炎症を抑えるためにステロイド薬が処方されます。
ステロイド薬と聞くと副作用を心配される方もいるかもしれませんが、ステロイド薬は正しく使用する分には安全性が高い薬です。間違ったイメージで使用を中止することなく、必ず医師の指示通り使ってください。
そのほか、抗ヒスタミン薬の飲み薬やビタミン剤の飲み薬もあわせて処方されることがあります。
脂漏性皮膚炎になった場合、病院で治療を受けることが症状緩和への近道です。また、病院での治療だけではなく、自宅でもできる限りのケアをすると、より早く症状が落ち着きます。かゆみが強い場合はかゆみを抑える薬も処方してもらうと悪化も防げるでしょう。自宅でできるケアとしては、まず過度な刺激を与えないようなシャンプーを選ぶこと、そして正しくシャンプーをすることです。脂漏性皮膚炎に伴って発生する薄毛や抜け毛も気になりますが、焦らず、まずは脂漏性皮膚炎を治してからの対策をおすすめします。
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