高齢者が感染症にかかりやすい原因とは?どうすれば予防できる?

2018/7/25 記事改定日: 2019/6/4
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

風邪やインフルエンザなど、感染症にはさまざまな種類がありますが、特に高齢者が気をつけるべき感染症とは何でしょうか?予防法と併せて解説します。

高齢者がかかりやすい感染症の種類は?

インフルエンザは高齢者にとって感染しやすく、かつ重症化しやすい感染症です。発熱や脱水による体力低下や肺炎の併発などに特に注意が必要です。また、高齢者は肺炎にもかかりやすく、特に高齢者に多いのが口腔内の細菌が肺に入って起こる誤嚥性肺炎が多いです。症状が出ず、発見が遅れる場合があるので気をつけましょう。

また、結核も発症しやすく、重症化しやすい病気です。そしてノロウイルスなどの感染性胃腸炎も、脱水による全身の状態悪化だけでなく、おう吐物による窒息に注意が必要です。また、聞きなれない病名かもしれませんが、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)も、高齢者に感染すると肺炎や敗血症などを起こし重症化する場合があります。

さらに、高齢者は、皮膚の感染症にもかかりやすい傾向があります。その代表的なものが、ヒセンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生して発症する疥癬(かいせん)です。疥癬は衣類やシーツの共有により、はがれおちた垢から集団感染する可能性があります。介護施設などは発生リスクが高いので、こまめな掃除、シーツ交換が必要です。そのほか、皮膚カンジダ症や白癬にも注意が必要です。

高齢者が感染症にかかりやすい理由は?

高齢者は、加齢に伴い感染に対する抵抗力が弱くなっています。特に高齢者が集団で生活する高齢者介護施設などは、感染が広がりやすい環境となっているため、インフルエンザ、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎、O-157などによる腸管出血性大腸菌感染症、疥癬などの集団感染が問題となっています。

また、結核のように感染したまま生涯にわたって発病の可能性がある病気では、抵抗力の低下によってすでに感染している人が発病したり再感染による発病も起こります。高齢者が厄介な感染症にかかると、薬の副作用の問題による治療の難航、疾患の合併による重症化などが原因で死亡率が高くなるので注意が必要です。

感染症予防のために、日常生活で気をつけたいことは?

感染予防の基本は手洗いです。主に感染症は椅子や机、ドアノブやエレベーターのボタン、つり革などに付いた病原体が、手を介して口、目、鼻などの粘膜から体内に入り感染します。爪は短く切り、時計や指輪ははずして、指先、指の間、親指の周り、手首、手のしわなど汚れが残りやすいところまでしっかりと洗いましょう。

また、咳のあるときはマスクをする咳エチケットの習慣や、体を清潔に保つことも大切です。特に口腔や陰部などは汚れがたまりやすいので注意しましょう。

そのほか、外出から帰宅した際のうがいも習慣づけたい予防です。うがいをした場合の感染症の発症率は、しない場合より大幅に低下するという報告もあります。

免疫力を高めるためにできることは?

高齢者が免疫力を高めるには、適切な栄養状態を保つことが大切です。特に寝たきりの高齢者などは低栄養状態に陥っていることも少なくありませんが、十分なカロリーを摂取しないと身体の抵抗力が低下しますので、バランスよい食生活を心がけるようにしましょう。また、嚥下障害などで流動食を食べている場合は、医師や栄養士などの指導に従って食事を管理していくようにしてください。

そして、風邪などをひかないようにするには、喉や鼻の適度な保湿も重要になってきます。喉や鼻の粘膜には、侵入したウイルスや細菌などをキャッチして体外への排出を促す作用を持つ「線毛」という構造物が密生しています。線毛は適度な湿度が保たれた部位では活発に運動を繰り返しますが、乾燥すると運動能力が低下してウイルスや細菌に感染しやすくなってしまいます。冬場など空気が乾燥しやすい時期はとくに加湿器、濡れタオルなどで湿度を保つようにしましょう。

おわりに:高齢者はあらゆる感染症の感染リスク・重症化リスクが高い!

高齢者は加齢にともなって抵抗力が弱くなり、ちょっとした感染症でも重症化する可能性があります。日常生活の中で手洗い、うがいなどをしっかりと習慣づけ、予防するようにしましょう。

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