記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
クラミジアは、若い人を中心に感染者数が最も多い性感染症といわれていますが、感染しても無症状のことが多いため、知らないうちに放置しがちです。しかし、放置しているとさまざまなリスクが生じるようになります。その具体的なリスクや自然治癒の可能性などについて、以降で解説していきます。
性器クラミジア(以降、クラミジア)を未治療のまま放置していると、男性も女性も不妊症などの原因となることがあります。
尿道でのクラミジア感染を放置していると、前立腺炎や精巣上体炎を引き起こす可能性があります。精巣上体炎とは精巣上体(副睾丸)が腫れる病気のことで、男性不妊症の要因の一つです。
女性が性器クラミジアに感染すると、まずは子宮頸管で炎症が起こります。この段階ではそこまで痛みがないため、気づかない方も多いですが、その後クラミジアは徐々に体内を遡り、子宮内膜炎を起こしたり、卵管まで到達して卵管炎を引き起こしたりします。この卵管炎になると徐々に卵管の通りが悪くなり、最終的には完全に詰まってしまうことで卵子が子宮から出られず、卵管性不妊症となる恐れがあります。
また、さらに症状が進行すると炎症が骨盤や腹腔内にも広がり、骨盤腹膜炎などを引き起こすようになります。この骨盤腹膜炎や卵管炎になると、周囲との癒着を引き起こし、異所性妊娠(日本では子宮外妊娠と呼ばれることが多い)の原因となってしまう可能性もあります。
妊娠中の女性がクラミジアに感染したまま出産すると、産道にいたクラミジアが赤ちゃんに感染し、新生児肺炎や結膜炎を発症する恐れがあります。
クラミジア感染による不妊症は、精巣上体炎や卵管炎など重い疾患が現れるようになった段階で可能性が出てくるものです。そのため、クラミジアに感染したからといって必ず不妊症になるわけではありません。例えば、感染して1ヶ月程度であればそこまで症状が進行することはあまりないので、治療をすれば不妊症への進展を予防することができます。
「クラミジアは放っておいても治る」なんて噂もあるようですが、基本的にクラミジアが自然治癒することはありません。ただ、風邪などの感染症にかかったときに抗生物質を処方された場合、それがクラミジアの病原菌を退治してくれたことで、結果的にクラミジアが治るケースはあります。
しかし一時的に症状がおさまっても、また再発する恐れがあります。「一度に治療できるからいいや」などと思わず、必ず専門のクリニックを受診するようにしてください。
クラミジアを長期的に放置していると、男性も女性も不妊症を引き起こす可能性があります。クラミジアは感染しても自覚症状が少なく、気づかずに放置してしまっている人も多いうえ、基本的に自然治癒することもありません。定期的に性病検査を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。