記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
病気による痛みを緩和し、患者のQOL向上のための薬物療法に使われる薬の代表格の1つにオピオイドがあります。
今回は痛み止めとして効果的なオピオイドという薬について、その効果や特徴、現れ得る副作用とその対処法を解説していきます。
オピオイドとは、脊髄と脳にあるオピオイド受容体という器官に働きかけることで、脊髄から脳への痛みの伝達をブロックする医療用麻薬です。強力な鎮痛作用を持っており、がんによる強い痛みや、他の痛み止めが効かなくなった場合の痛み止めとして使用されています。
医療用麻薬と聞くと、違法性や中毒性といったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、医療用麻薬といわゆる麻薬・覚せい剤は、以下のように明確に区別されています。
このように、医療用麻薬と不正麻薬・覚せい剤には、法律上の規定・許可されている用途や使用者の権限などにおいて、大きな違いがあります。医療用麻薬は、十分な知識を持った医師や医療従事者によって投与されるため、適切に利用する限り中毒性がほとんどない点が特徴です。
ここからは、強い鎮痛作用のある医療用麻薬・オピオイドの使用に当たり、知っておきたい3つの副作用についてご紹介します。
オピオイドの使用開始直後、または用法・用量を変更した後2週間程度にわたって現れやすい、使用者の3~6割が経験するといわれる代表的な副作用です。
オピオイドが持つ消化器官を抑える作用のために、腸の働きが抑制されて便秘になることがあります。使用者のほとんどが経験し、使用している限り継続するといわれる副作用です。
薬の使い始めや量を増やしたときに現れやすい、眠気が続く副作用です。ただし、眠気は副作用のなかでも軽度であり、通常は1週間程度でおさまるとされます。
最後に、オピオイドの代表的な3つの副作用への対処法を、それぞれご紹介します。
副作用が出やすいオピオイドの服用開始から2週間以内は、医師に吐き気止めの薬を処方してもらって併用するのが良いでしょう。また、症状が悪化して食事が困難になるようであれば、医師に対処法を相談してください。
医師に便秘の程度や便の排出頻度・硬さなどを相談して、症状に応じた強さの下剤を定期的に処方してもらってください。
また、薬とあわせて行える便秘対策として以下の方法がありますので、試してみましょう。
ほとんど起きていられない、または1週間以上たっても改善しないほど眠気が強い場合は、使用するオピオイドの量を減らしたり、種類を変えて対処します。
強力な鎮痛作用があり、適切に使えば中毒性もほとんどないとされるオピオイドは、疾患による強い痛みと闘う患者には非常に有用です。一方で吐き気や嘔吐、便秘、眠気などの副作用が起こるのも事実で、時間とともに軽減されていくものもあれば、オピオイドの服用を続ける限り付き合わなければならないものもあります。副作用への対処は、医師に相談しながら気長に向き合っていくものということを念頭に置いておきましょう。