夢遊病とは ― 寝ぼけているのと何が違うの?対処法は?

2018/8/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「夢遊病」はよく名の知られた疾患ではありますが、単なる寝ぼけとどう違うのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は夢遊病と寝ぼけの違いや、対処法をお伝えしていきます。

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夢遊病ってどんな症状?

「夢遊病」は、別名「睡眠時遊行症」とも呼ばれる睡眠障害のひとつです。大人よりも子供に多い障害で、4~8歳頃が発症のピークだといわれています。

眠りながら、本人の意識がないままに活動することを繰り返してしまうのが主な症状で、布団やベッドから起き上がる程度のこともあれば、部屋を出ていったり、屋外へと出てしまったりすることもあります。何かを話す、トイレを使う、何かを食べる、などのケースもあるようです。

これらの行動をとるのは、主に睡眠時間帯の中の最初の1/3の時間です。数分でおさまる場合もあれば、1時間も続く場合もあります。他者の呼びかけなどにはあまり反応せず、やがては布団やベッドに戻ってまた寝てしまいます。

夢遊病と寝ぼけの違いは?

夢遊病は見たところ、寝ぼけている状態とよく似ているように思えるかもしれません。しかし、もしも寝ぼけている場合、本人にもわずかながら意識が残っていたり、目覚めたときに寝ぼけていたときの記憶があったりするでしょう。

しかし夢遊病の場合、本人は完全な睡眠状態に入っているため、自覚が一切ありません。つまり、眠ったまま動いてしまっている状態なのです。さらに、この眠りはノンレム睡眠といわれる深い段階の睡眠であり、夢を見ているわけでもありません。このように、夢を見ながら行動しているわけではないことも、特徴だといえます。
子供の行動で夢遊病を疑ったときなどは、本人がそのときのことを覚えているか、夢を見ていたか、などを聞いてみるとよいでしょう。

もしかして夢遊病?と思ったら

夢遊病になっている本人には、まったく自覚がありません。そのため、無理に起こそうとすると、錯乱状態に陥ってしまうこともあります。もしも子供が夢遊病のような状態になったときは、大きな声を出したり揺さぶったりせず、ベッドや布団まで戻るのを見守ったり、穏やかに誘導してあげる方がいいでしょう。

なお、夢遊病の症状が何回か出たとしても、子供の場合は、大人になるまでに自然に症状が消えていくケースが多いです。特別な治療が必要ないこともありますが、症状が重く命に関わる行動をとってしまう場合や、大人の夢遊病の場合は治療を受けた方がいいケースもあります。その際には、薬物等を使用することもあるでしょう。

家庭でできる対策としては、子供の睡眠の時間や、食べ物や飲み物などを含めた生活の様子を記録しておくことです。夢遊病時の様子はもちろん、睡眠不足などの問題がないか、睡眠に入る前に何か問題となる習慣がないかなどを確認しましょう。夕方以降、カフェインをとらせるのも控えたいところです。また、ストレスとの関連も考えられるため、子供が何か問題を抱えていないかをよく見直しましょう。
それでも症状が頻繁に出る場合、本人が睡眠不足に陥り日中の活動にも影響が出ている場合などは、専門医に相談した方がよさそうです。

おわりに:夢遊病の場合、本人には自覚がない!

「夢遊病」は、別名「睡眠時遊行症」とも呼ばれる睡眠障害のひとつです。子供に多い障害で、眠りながら、本人の意識がないままに活動してしまいます。寝ぼけている状態と異なり、本人は深い睡眠に入っているため、意識がなく、また夢も見ていません。自然に症状がおさまる場合も多いですが、症状が頻繁、危険をともなう、日常生活に支障がでる等の場合は専門医に相談しましょう。

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