大腸がんを発症しやすい年齢ってどのくらい?どうすれば予防できる?

2018/8/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

近年、日本人の2人に1人が何らかの「がん」に罹患するといわれています。なかでも大腸がんは、胃がんとならび日本人に発症率の高いがんとして知られています。
今回は大腸がんについて、その原因や発症しやすい年齢、予防する手立てがないのかなど、大腸がんについて知っておきたいことをまとめて解説します。

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大腸がんになりやすい年齢は?

大腸がんは40歳以上が罹患しやすく、年齢を重ねるごとにかかりやすくなる病気です。近年の高齢化の影響により大腸がんの患者は増加しているといわれ、2013年の調査では部位別のがん罹患数において、大腸がんは男女計で第2位となっています。

男女別にどの部位のがんによる死亡者が多いかをまとめた2016年の統計においても、以下の通り、男女別・男女計ともに大腸がんを原因とする死亡者数は高い割合を占めています。

2016年の部位別、がんによる死亡者数の統計ワースト3

男性

第1位
肺がん
第2位
胃がん
第3位
大腸がん

女性

第1位
大腸がん
第2位
肺がん
第3位
膵臓がん

男女計

第1位
肺がん
第2位:
大腸がん
第3位
胃がん

上記のことから考えると、男女ともに40代以上になると大腸がんになりやすくなり、年齢を重ねるごとに大腸がんの発症と死亡両方のリスクが高まるものと理解できます。

大腸がんが増えている原因は?

大腸がんが増えている原因としては「食生活・ライフスタイルの影響」と「遺伝子の異常・変異の蓄積によるもの」の、2つが挙げられます。

食生活・ライフスタイルの影響

食生活の欧米化により、牛・豚などの赤身肉や加工肉を頻繁に食べるようになったことが、大腸がんが増えた大きな要因とされています。赤身肉や加工肉を食べると、腸内に消化に必要な発がん性のある二次胆汁酸という成分が増えることから、赤身肉・加工肉の常食が大腸がんを誘発すると考えられているのです。そのほかに食物繊維の摂取量の減少などが原因であると示唆されています。

実際に、2015年までの30年間で、大腸がん患者が5倍に増えたというデータも報告されているほどです。

遺伝子の異常・変異の蓄積によるもの

生まれながらにして大腸がんになりやすい遺伝子異常を持っていたり、年齢とともに遺伝子変化を蓄積することによっても、大腸がんを発症するといわれています。

前者の遺伝子異常は親族に大腸がんの罹患者がいた場合に、後者の遺伝子変異の蓄積は、年齢を重ねれば誰の身体にも起こるものです。高齢者に大腸がん罹患者が多いといわれているのは、年齢を重ね遺伝子の変異を重ねるうちに、大腸がんになりやすい状態になっていくためといえるでしょう。

どうすれば大腸がんを予防できる?

大腸がんを予防することは難しいため、定期的に検査を受けて大腸がんを発症していないかを確認し続けることが、最大の予防策となります。
また、大腸がんは早期では自覚症状がなく、さらには進行しても症状が出にくいケースもあるため、早期発見への対策としても定期的な検査は非常に効果的です。

罹患率が高くなる40代より若い、30代でも大腸がんを発症する可能性は十分あります。若いからといって、絶対に大腸がんにならないという保証は、どこにもありません。
たとえ20代・30代であっても、便に血が混じっているような兆候があれば、必ず病院で大腸がんの可能性も含めた精密検査を受けるようにしてください。

おわりに:大腸がんになりやすいのは40歳以上!定期的な検査は欠かさないで

加齢による遺伝子変異の蓄積が大きく影響する大腸がんの発症率は、40歳以上になると急激に高くなります。しかし、20代・30代であっても発症する可能性はゼロではなく、血便などの兆候があったときには大腸がんに罹患している可能性があります。若年の頃から定期的に検査を受けることが最大の予防策になりますので、早期発見・治療開始のためにも、大腸がんの検査は欠かさず受けるようにしてください。

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