台風がくると、モーレツな頭痛に襲われるのはなぜ? 対処法は?

2018/8/9

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

台風の日やゲリラ豪雨がくる直前などに、ひどい頭痛に悩まされた経験はないでしょうか?この台風に伴う頭痛は人によっては「あるある」ですが、一方で「頭痛なんて全然起きない」という人も…。
では、なぜ台風に伴う頭痛が起こる人と、そうでない人がいるのでしょうか?発症メカニズムや効果的な頭痛の対処法についてお伝えしていきます。

台風に伴う頭痛や眠気、めまいの正体は「気象病」!

実は人間の体は、知らず知らずのうちに天気や気温、湿度などの影響を受けているとされます。実際、台風が近づいたときや梅雨時、雨が降る前、季節の変わり目などに、頭痛やめまい、眠気、関節痛といった症状に見舞われたことはないでしょうか?こうした天気や気温、湿度の変化に伴い現れる諸症状は、「気象病」と呼ばれています。

普段私たちの体には、天気や気温といった外部環境が変化しても、体温や血圧など内部の環境を一定に維持しようとする「ホメオスタシス」という機能が備わっています。そしてこのホメオスタシスの調整は、自律神経などが司っています。

しかし、台風やゲリラ豪雨の襲来などで、あまりにも急激に外部環境が変化すると、気象の変化に体が順応できず、自律神経が乱れることによって体調を崩すことがあるのです。

台風がくるとなぜ頭痛や眠気が起きるの?

では、台風がくるとなぜ頭痛や眠気が起こるようになるのでしょうか?メカニズムには諸説ありますが、有力とされているものを2つご紹介します。

低気圧による影響

台風の影響で気圧が急激に低下すると、炎症物質であるヒスタミンの分泌量が増えます。するとこのヒスタミンによって交感神経が刺激されることで血管や神経が収縮し、血行が悪化することで痛みが起こる可能性があります。

自律神経の乱れ

まだ研究段階ではありますが、耳の鼓膜の奥にある「内耳」という器官には、気圧の変化を感知するセンサーがあり、普段は内耳が気圧の変化を脳に伝達し、自律神経を活性化させることで体を順応させていると考えられています。

しかし、一部の人はこの内耳の機能が敏感なために、少しの気圧の変化で過剰に脳が反応し、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで、頭痛や眠気などの症状を発するようになるのではないか、と想定されます。そしてこのうち交感神経が過剰に活性化すると、痛みの神経が直接刺激されたり、血管が過剰に収縮してけいれんを起こしたりすることで、頭痛が引き起こされると考えられるのです。

なお、台風に伴う眠気やだるさは、副交感神経の活性化に伴い現れる症状といわれています。

低気圧による頭痛は「気のせい」という説も・・・

ただ、気象病の存在を肯定する専門家がいる一方、否定的な見方を示す専門家も存在します。「低気圧だと頭痛が起こる」というのは比較的よく聞く話ですが、実際には気圧が頭痛に及ぼす影響はそこまで大きくはなく、どちらかというと生理中や生理前後、疲労、睡眠不足など別のファクターが重なった結果、頭痛が起きるのではないかとも考えられています。

また、「台風がくる(雨が降る)=頭痛が起こる」という思い込みも、台風に伴う頭痛の発生に関連していると考えられています。
人間には痛みを感じるラインとなる「閾値(いきち)」というものがあり、閾値の高さや低さには個人差があります。そしてこの閾値には、感情が密接に関連していると考えられており、「台風がくるから頭痛になりそう」とナーバスになること自体が閾値を下げ、痛みのアンテナを敏感にさせるのではともいわれています。

そして、「気圧」というよりも「気温差」が頭痛の発生と関係しているのでは、という説もあります。例えば、気温が低くなる冬場では、特に頭痛持ちではない人でも突発的な頭痛に見舞われることがあります。このような頭痛は、顔の感覚を脳へ伝達する「三叉神経(さんさしんけい)」が、脳血管の収縮や拡張に伴う刺激によって起こる「三叉神経痛」による頭痛と考えられます。

台風による頭痛には薬が効かない!?

頭痛には「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類がありますが、台風の接近など低気圧に伴う頭痛が起こる人は、もともと片頭痛持ちのことが多いです。片頭痛では、頭の片側(両側のこともある)がズキズキと脈打つように強く痛み、体を動かすと痛みが強くなる傾向にあります。

こうした片頭痛の場合は、一般的に市販されている頭痛薬ではなかなか効果が得られないため、病院で処方される片頭痛専用の鎮痛薬のほうが有効です。薬を飲んでも頭痛が治らない、という方は頭痛外来で一度相談してみてください。

台風による頭痛にはどう対処すればいい?

台風による頭痛の原因には諸説あることがわかりましたが、この厄介な気象病の頭痛を和らげるには、結局どうすればいいのでしょうか?有効な対処法をいくつかご紹介します!

マッサージ

耳の周辺のマッサージをすると、気圧の感知に関連する「内耳」の血流が促進され、頭痛の緩和効果が期待できます。具体的な手順は、以下の通りです。

  1. 両耳を横や上下方向に5秒程度引っ張る
  2. 両耳の耳たぶの横部分をつまみ、後方へと軽く引っ張りながら、10回程度ゆっくり回す
  3. 両耳の下に親指を当て、人差し指は耳の上部分に引っ掛けて、上下に折り曲げる。この状態で10秒ほどキープする
  4. 両耳を手でがぼっと覆い、後方に向かってゆっくりと円を描くように5回ほど回す

ツボ押し

台風に伴うめまいの緩和策としておすすめなのが、ツボ押しです。手首の内側のしわから指3本分、ひじのほうに下りたあたりに位置する「内関(ないかん)」というツボは、酔い止めに効果的とされるツボで、天気の変化に伴うめまいの緩和に特に有効といわれています。ちょっとしたスキマ時間に、何度か刺激してみましょう。

生活習慣の改善

先ほどもお伝えしたように、台風に伴う頭痛には自律神経の乱れが関連していると考えられています。自律神経のバランスを崩さないよう、なるべく日頃から就寝・起床・食事の時刻を一定にしたり、栄養バランスのとれた食事内容にしたり、適度に体を動かしたりと生活習慣を整えましょう。

めまい薬の服用

気象病の人は、内耳の血流が悪いために頭痛が起こりやすくなるとも考えられています。そして、酔い止め薬などの「めまい薬」には内耳の血流を改善し、内耳神経の興奮を鎮める効果があるといわれているため、服用によって頭痛が緩和する可能性があります。

首の後ろや額周辺を冷やす

先ほどもお伝えしたように、台風に伴う頭痛は片頭痛持ちの人が発症することが多いので、この場合は首の後ろや額のあたりを冷やすと痛みが緩和する傾向にあります。なお、片頭痛は脳血管の拡張が原因で起こるものなので、逆にマッサージや入浴などで体を温めてしまうと痛みが悪化する可能性があります。

アプリを活用する

近年では、気圧グラフなどから気象病の発生リスクを事前に予測してくれる便利なアプリも登場しています。

なかでも「頭痛ーる」は、月間40万人以上もの人に利用されている、気象予報士が開発した気象病・天気痛対策用アプリです。気圧予報に応じて危険プッシュ通知も届くため、頭痛が起きる前に服薬などの対策ができ、また服薬や体調の記録も可能なため、実際に多くのユーザーの体調管理に役立てられています。

「頭痛ーる」は無料でダウンロードできるので、気象病でお悩みの方はぜひ活用してみてください。

頭痛ーる:気圧予報で体調管理 全国700万人の気象病対策アプリ

おわりに:台風が接近したら、対処法の実践を!

台風に伴う頭痛のメカニズムはまだよくわかっていない点も多いですが、内耳の機能が敏感な人は気圧の変化を過度に感知するために、痛みが起こりやすくなるのではと考えられています。台風のシーズンはまだまだ続くので、台風が近づいてきたらご紹介した対処法をぜひ実践してみてくださいね。
また、慢性的に頭痛がひどいという人は頭痛外来などの専門外来を受診し、症状に合わせた対策について専門医からアドバイスを受けるようにしましょう。

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