肥満細胞って肥満と関係ある細胞なの?どんな働きを持っている?

2018/8/13

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

「肥満細胞」は、主にアレルギーの話で登場する細胞ですが、「肥満」とは関係があるのでしょうか?肥満細胞の働きについて、詳しく解説します。

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肥満細胞って、肥満と関係あるの?

肥満細胞はマスト細胞ともいい、皮膚や粘膜など幅広い組織に分布しており、血管に最も多く分布しています。即時型アレルギーにおいてかゆみなどのアレルギー反応の原因物質であるヒスタミンを遊離する細胞となります。つまり、肥満細胞はアレルギー反応を起こす原因の細胞です。
したがって、肥満という言葉はついているものの肥満細胞は肥満との関係はあまりありません

肥満細胞ってどんな働きをするの?

肥満細胞の表面には、アレルゲンと結合するIgEのFc部分に対する受容体(高親和性IgE受容体(FcεRI))が存在します。この受容体にアレルゲンがくっついて反応を示すと、この受容体を介して肥満細胞も活性化してヒスタミンを放出したりロイコトリエンや血小板活性化因子(PAF)などの化学物質を発生させます。

蕁麻疹や花粉症によるくしゃみ、喘息による発作、アナフィラキシーショックなどはこの肥満細胞の働きによって出現する症状となります。つまり、肥満細胞の働きによってアレルギー反応が出るのです。また、近年では寄生虫による感染防御の作用があるとしても注目されています。

アレルギー反応を起こすなら、肥満細胞は少ないほうがいいの?

特にアレルギーに悩まされている人は、アレルギー反応を起こすならば肥満細胞は少ない方が良いのではと思う方もいるかもしれません。しかし、肥満細胞はアレルギーを引き起こすばかりではありません。肥満細胞は活性化してしまうとヒスタミンを放出してしまい、さまざまな症状を出現させてしまうものの、正常な状態で体内に存在している分には何も影響がありません。

また、この免疫反応や炎症反応は症状が出現して辛いものの、体内に侵入してしまった有害物質を体外に追い出してくれるため、アレルギー物質を体外に排除してくれたり、病気など有害なものを身体から排除してくれます。そのため、肥満細胞は私たちの身体にとってなくてはならない細胞でもあるのです。

おわりに:私たちの身体の免疫反応に肥満細胞は大切な存在

マスト細胞ともいわれる肥満細胞。私たちの皮膚や粘膜、血液などに存在し、IgEにアレルゲンが付着することで反応を示し、ヒスタミンというかゆみなどのアレルギー反応を引き起こす物質を放出します。アレルギー反応を引き起こすことで体内へアレルゲンの侵入を防いだり、悪い病気になるのを防いでくれています。

アレルギー反応が辛い人は、肥満細胞をあまりよく思わないかもしれませんが、私たちが健康に過ごすためにはとても大切な細胞なのです。肥満細胞という名前から肥満と関係あると思われがちですが、肥満とはあまり関係が無いということも、併せて覚えておきましょう。

【 岡山大学大学院医師薬学総合研究科奥羽大学 ホームページを編集して作成 】

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