妊娠中に肥満のままだと、体にどんな影響があるの?赤ちゃんは?

2018/8/10

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

妊娠中は赤ちゃんがお腹にいることもあるためか食欲旺盛になりがちで、肥満になってしまう妊婦も多くいます。妊娠中の肥満は母体や胎児に悪影響を与えることはないのでしょうか。
ここでは、妊娠中の肥満のリスクと妊娠中の肥満の対処法を説明していきます。妊婦さんやこれから妊娠を計画している人は参考にしてください。

肥満で妊娠すると、どんな影響があるの?

妊娠前あるいは妊娠中に肥満であると、実は母体にとってさまざまな影響を及ぼします。
ここでの肥満はBMI25以上の女性のことを言い、このBMIが25以上の女性では、ひと昔前まで妊娠中毒症ともいわれていた妊娠高血圧症や妊娠糖尿病を併発するリスクが高まります。

また、産道が狭くなることからお産が長引く傾向にあるともいわれていますし、帝王切開とならざるを得ない事例も多くあります。肥満で帝王切開を受けると血栓や塞栓症、創部感染のリスクが高くなるため、肥満の人が帝王切開を受けること自体がリスクとなることもあることは覚えておきましょう。

妊娠中も肥満のままだと、赤ちゃんに影響がある?

妊娠中も肥満のままだと、母体だけでなく赤ちゃんにも影響を及ぼすことがあります。

肥満のまま妊娠を継続すると巨大児になりやすい傾向にあり、特に妊娠中に肥満がさらに進んでしまった場合では赤ちゃんの出生体重も重くなりやすい傾向にあるといわれています。
さらに赤ちゃんが順調に育ったとしても成人後に狭心症や心筋梗塞、脳卒中などに罹患するリスクも高まるとされています。

また、産道の周りに皮下脂肪がつくことによって産道が狭くなってしまい、赤ちゃんが頭を回転させながら産道を通過することができなくなるため児頭回旋異常が起こりやすくなります。

ほかにも、葉酸を摂ることで回避できるともいわれている神経管閉鎖障害になるリスクや死産のリスクが高くなるともいわれています。
スウェーデンの研究によると、妊娠が成立した時点で肥満である場合、妊娠末期に胎内で胎児が死亡する割合が高くなるという結果も出ています。

妊娠中の肥満を少しでも改善するには?

では、母体だけでなく胎児にもリスクが生じる可能性がある「妊娠中の肥満」を、少しでも改善するにはどうすればよいのでしょうか。

普通体型の妊婦の体重増加率は7Kg~18Kgが推奨されていますが、肥満の妊婦の場合は5Kg~7Kgの体重増加率が推奨されています。
この狭い範囲での体重増加に留めるためには、食生活の見直しと軽い運動が重要です。

食生活は和食中心にして、高たんぱく低カロリーの食事に切り替えるようにしましょう。また、1回に食べる量を減らして食事の回数を増やしたり、食物繊維を多く含むものや海藻類、野菜などで空腹を満たすようにする工夫も必要です。

軽い運動ではマタニティスイミングやヨガ、近所をウォーキングするなどが良いとされていますが、妊娠の経過によっては軽い運動も制限されることがあるため、運動を始める前に必ず医師に確認しましょう。

おわりに:母体と胎児のためにも肥満の改善を

妊娠前及び妊娠中の肥満は母体に妊娠高血圧や妊娠糖尿病といった影響を与えるだけでなく胎児にも巨大児、神経管閉鎖障害となるリスクを与えてしまい、死産のリスクを高めてしまいます。
そのため、食生活を見直したり、軽い運動をするなどして体重増加を5~7Kgに留めることが推奨されます。
母子ともに健康に出産に至るためにもBMI25以上の妊婦さんは少し意識した生活にシフトするように工夫していきましょう。

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