記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/22 記事改定日: 2020/2/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脊柱側弯症とは、背骨(脊柱)自体がねじれて曲がっている状態であり、単に姿勢が悪いとかバランスが悪いという状態のことではありません。程度にもよりますが、一般的には「専門のコルセット」を使った治療が必要になります。
この記事では、脊柱側弯症のコルセット治療の条件、治療期間、費用について解説しています。
脊柱側弯症は、脊柱が「脊柱自体のねじれ」を伴って横に曲がった状態のことであり、脊柱側弯症の80%が原因不明な突発性の脊柱側弯症であるとされています。
通常、小児期にみられる矯正が困難なねじれのことを指しますが、中年期以降に症状が見られることもあります。治療は重症度によって異なりますが25度~40度までの軽症の脊柱側弯症あるいは中等度まで進行した場合には側弯の進行防止、矯正およびその保持を目的としてコルセットを着用する装具療法が行われます。
脊柱側弯症で装具療法を行う場合、骨成熟が終了し、骨の成長が終わるまでコルセットを装着します。骨の成長が終了したかどうかは3~6か月ごとにレントゲン(X線)撮影などで確認します。
基本的に骨成長が見られる段階では原則23時間ほどコルセットを着用する必要があるとされていることから、入浴時以外、1日中コルセットを着用することになり、骨の成長がおおむね止まったと判断された場合には夜間のみの装着を1~2年継続していきます。
コルセットを装着する期間は脊柱側弯症が見つかった段階によって異なることから、「いつからいつまで」と明言することはできません。
近年コルセットはさまざまな種類が販売されており、その人の体格に合わせたコルセットが売られています。
また、成長期にある子供が着用するという特徴から「成長に合わせてコルセットを調整する」ことも多く、一旦購入すればよいという側面もあることから、コルセットの作成費用には個人差が大きくなるという特徴があります。また、上記でも説明したように、治療期間の個人差も大きいことから費用の目安を明言することは難しいです。
ただ、微調整することで買い替えの回数を少なくするコルセットもあるので、費用自体を抑えることはできるでしょう。また、給付金制度があるため、いったん全額支払ったとしても申請して審査を通過すれば自己負担額分以外は返金されます。給付金制度については自治体によっても異なるため、かかりつけ医や居住地域の役所で確認してください。
ただし、コルセットの料金を支払ってから2年過ぎると返金を受けることができませんので、申請を忘れないように注意しましょう。
脊柱側弯症に対するコルセット治療で用いられるコルセットは、脊椎が変形している部位によって用いられるタイプが異なります。現在使用されているコルセットは次の4種類のものがあります。
脊柱が側弯している範囲が広く、胸のあたりまで何らかの変形が見られる人に用いられるコルセットです。現在はあまり用いられませんが、骨盤に装着するガードルと頭部を支える「ネックリング」で構成されており、特に上位胸椎のカーブを矯正する効果が高いとされています。
中下位胸椎の変形が見られる人に用いられる装具です。現在最も多く用いられるタイプのコルセットで、両脇から骨盤までを包むように装着します。
腰の変形が強い人に用いられる装具です。腰から骨盤を包むように装着することで、腰椎のカーブを矯正することができるとされています。
日中、コルセットの装着が不可能な人に用いられることがある装具です。脊椎のカーブと逆の方向に身体を倒すように作られ、就寝時に用います。
脊柱側弯症は背骨がねじれ、横に曲がった状態のことです。骨の成長が終了するまで治療が必要となり入浴時以外はコルセットの装着が必要となります。骨の成長が終了しても、夜間の装着は必要なため、治療期間は長期間になることが大半です。
コルセットは成長に合わせて調整が必要となる場合も多く、金銭的にも負担を伴いますが、給付金制度によって申請して審査が通れば自己負担分以外のお金が戻ってきます。給付金制度を利用して、経済的に無理が掛からないように工夫しながら治療を継続していきましょう。