脳卒中の感覚障害は、歩行障害に関連している?

2018/8/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脳卒中の代表的な症状の一つ「感覚障害」。触覚や痛覚などの感覚が鈍くなってしまう状態のことですが、この感覚障害は歩行困難にも関連していると考えられています。両者の関連性を中心に、お伝えしていきます。

脳卒中と歩行障害

歩行障害とは、歩行に必要な体の部位が何らかの原因によって障害され、歩行が困難になってしまう状態のことです。

普段私たちは意識せずに歩行をしていますが、この歩行に関わるのは足の筋肉だけではありません。脳が神経を通じて、足の筋肉へと命令を伝えることで歩行が成立します。つまり、脳組織や神経組織が障害されるとそれが原因で歩行障害につながることがあり、実際に脳卒中は歩行障害の原因となる主要疾患の一つとされています

なお、脳卒中などの脳神経疾患に多い歩行障害の特徴としては、以下が挙げられます。

  • つま先を引きずるように歩く
  • 両足をはさみのように組み合わせて歩く
  • 腰を左右に振りながら歩く
  • 足首が上がらないため、足を高く持ち上げてつま先から投げ出すように歩く

脳卒中の歩行障害には、「感覚障害」が関連している

歩行障害は、脳卒中の患者さんに見られる「運動障害」の一種です。脳卒中の患者さんは片麻痺によって手足に力が入らないことも多く、歩けないことで生活に困難を抱えるケースは決して少なくありません。

この脳卒中による歩行障害などの運動障害は、運動系の神経の障害だけで起こるものではなく、感覚系の神経の障害も合併して起こる場合が多いです。そもそも歩行に限らず、体を動かすときは、末梢からの感覚情報が必要になります。つまり感覚や痛覚などの表在覚や、振動覚や位置覚などの深部覚などの感覚の障害が大きければ大きいほど、それだけ歩行などの運動全般に支障をきたす可能性が高くなるのです。

例えば、感覚が正常に機能している人であれば、歩行時に足が地面の感覚を脳に伝えてくれるため、特に足元を確認しなくてもうまく歩くことができます。しかし、この感覚を司る脳の部位が障害されると、足からの情報が伝わらないために筋力が正確に調整できず、うまく歩けなくなってしまうのです。

脳卒中による歩行障害のリハビリはどんなふうに行うの?

脳卒中による歩行障害は、感覚障害以外にも、長く寝たきりが続いたことによる筋肉の低下が原因で引き起こされることが多いです。そのため、未然に麻痺の起きていない片側の手足を動かす、ベッドの上で起き上がるといった運動を急性期のうちから始めることが重要です。

また、ランニングマシンの左右に金属製のポールを立て、吊り下げ式のハーネスを体に装着しながらウォーキングを行う歩行訓練も、近年注目を集めているリハビリ方法の一つです。従来の平行棒を使った歩行訓練よりも効率がよく、転倒防止の効果も高いとされています。

おわりに:早期のリハビリで歩行障害を最小限に留めよう

脳卒中の患者さんの歩行障害は、片麻痺をきっかけとした寝たきりなどが原因で起こることが多いですが、感覚障害も歩行障害を重症化させる要因の一つと考えられています。脳卒中を起こしたらなるべく早期にリハビリを行い、悪化を未然に予防することが大切です。

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