記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日本で起こりやすい感染症のひとつが結核です。厚生労働省の調査によると、毎年一万八千人ほどの方が結核に感染しているといいます。主な予防法は「BCGワクチン」の接種ですが、特徴的な円くて小さい針の跡から「はんこ注射」とも呼ばれています。
今回はBCGワクチンで赤い腫れができたときの対処法を紹介しています。
BCGは一度接種すれば予防効果が10~15年続く、有効性と安全性が高いワクチンといわれています。乳幼児が結核菌に感染した場合の発症率は非常に高いため、子供のうちに接種することが望ましいとされます。
ワクチンは注射で二の腕(上腕)の外側中央部分に接種しますが、注射針を刺した部位に赤みや腫れが起こることがあります。ワクチンを接種した日から何日目にこれらの反応があらわれたかによってとるべき対応は異なります。
BCGワクチンを接種したあと、軽度の副反応がみられることもあります。最も多い副反応はわきの下のリンパが腫れる例です。副反応がみられたらワクチンの接種医療機関に相談してください。副反応は自然治癒することが多く、経過観察となることが多いです。
ワクチンを接種してからおよそ10日間(一般的には3日間)以内に、針の跡に激しい変化がみられます。これをコッホ現象と呼び、結核菌に感染している人にみられる反応です。
ただしコッホ現象があらわれたからといって、結核に感染しているとは限りません。ほかの菌にワクチンが反応することもあるのです。そのためコッホ現象と思われる症状があらわれたら、2~3日以内にワクチンの接種医療機関を受診してください。結核に感染しているかどうか調べるために、ツベルクリン反応検査やX線検査などを行います。
コッホ現象で発生した赤みや化膿はワクチン接種後2~4週間には治まり、症状は針の跡が残る程度に落ち着きます。
特徴的な針の跡からはんこ注射とも呼ばれているBCGですが、一般的に針の跡は消えずに残ります。大きく目立つほどの跡が残るケースはあまりありませんが、接種後の化膿が長引くなど反応が激しい場合はワクチン接種医療機関に相談してください。
ワクチンの接種部位は、二の腕(上腕)の外側中央部分と法律で定められています。そのほかの場所に接種するとケロイドが生じやすいことが判明しており、効果や安全性の確保のためにも決められた部位に接種します。
もしも針の跡が接種後すぐに消えてしまったり、時間が経っても反応が起こらなかったりする場合は、接種時に以下の問題が発生していた可能性があります。
反応があらわれないことで不安に感じることもありますが、ワクチンの再接種は基本的には必要ないと考えられています。BCGの注射(スタンプ)には針が9本あり、二の腕にスタンプを二か所押します。皮膚に残るポツポツとした針の跡の個数には個人差があり、針の跡が人より少ないからといって、ワクチンの効果が薄いというわけではありません。
ただし接種後4週間が経過しても反応がまったく起こらないことがあります。この場合はワクチン接種医療機関に相談しましょう。接種から半年~一年ほど経ったころにツベルクリン検査反応を行い、ワクチンの効果を確認します。
結核の感染を予防するためにも、ワクチンを接種したらその後の反応が正しくあらわれているかを気にかけましょう。コッホ現象がみられたり反応がまったくあらわれない場合は、ワクチン接種医療機関にすぐに相談してみてくださいね。
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