記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
感染症として有名な結核ですが、結核を予防するためにはどのような対策を行えばいいのでしょうか?3つのポイントに分けてそれぞれ解説していきます。
結核とは、結核菌と呼ばれる細菌が原因となり引き起こされる感染症のことです。
肺結核では、組織が炎症を起こして化膿した状態が長く続き、レントゲンなどで発見されることが多いとされています。そしてその後、化膿した組織が溶け出して、咳やくしゃみとして肺の外に排出されると、病巣が空洞になり、空気や肺からの栄養素を元に結核菌が増殖していきます。増殖した菌が肺の他の部分や、リンパ、その他臓器に飛び火し、結核菌が広がると、最終的に肺の組織が破壊されて、呼吸困難や他の臓器不全を引き起こす場合もあるので注意が必要です。
結核菌を吸い込んでも、多くの場合は体の抵抗力によって菌が排除されるため、感染する確率は低いとされています。もしもまだ体内に菌が残っていても、免疫が結核菌を取り囲む「核」を作って封じ込めるため、発病することはありません。
このように、菌が体内に封じ込められ活動を停止している状態を「感染」と呼び、この状態のときには、周囲の人に感染する恐れはありません。
「発病」とは、感染後に封じ込められていた菌が活動を開始した状態で、症状が進行するとせきや痰として空気中に菌が吐き出されます(排菌)。ただし、発病しても排菌が行われていない場合は、周囲への感染力はありません。
BCGとは結核の症状の進行を防ぐワクチンで、牛型結核菌の毒性を弱めたもの(BCGワクチン)を管針法で上腕2箇所に接種します。事前に症状の軽い結核を起こさせ、免疫をつける目的で行われます。
BCGは特に子供の結核予防に効果的とされており、十~十数年間予防効果が持続するといわれていますが、成人の結核予防にはあまり効果がないとされているため注意が必要です。
赤ちゃんは結核菌への抵抗力が弱く、重症化する可能性が高いとされているため、BCG予防接種を受けて結核性髄膜炎などを予防する必要があります。
定期予防接種は義務として区市町村で受けなければならないため、日付や場所などを事前に確認しておきましょう。基本的には、BCGを接種した日の翌日から27日以上をあけてから、他の予防接種を打てるようになります。
以下のようなことは、感染を広げないためのマナーとしてきちんと守るようにしましょう。
病気の早期発見・治療のために、定期的に健康診断などを受けて検査することが必要です。結核発病の有無は、胸部X線検査によって調べることができるので、お住まいの区内で実施している健診を定期的に受けるようにしましょう。
ただし、2週間以上咳が続く場合は、早急に医療機関を受診するようにしましょう。
結核を予防するためには、結核の症状の進行を防ぐためのBCGワクチン接種や、咳エチケット、定期的な健康診断などが必要となります。結核は、特に抵抗力の弱い赤ちゃんや乳幼児などが罹患すると重症化する恐れがあります。自分自身や周囲の命を守るためにも、予防を徹底しましょう。