記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/1/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
過度の残業や過労死など、働きすぎが問題となっている現代日本。
日々多くの人が
ぼーっとして仕事に集中できなかったり、
大事な会議でウトウトしてしまったり、
不機嫌になったり、
睡眠不足の悪影響を実感していることと思います。
ただ、悪影響はそれだけじゃないんです!
睡眠不足のせいで、
「心臓病」「糖尿病」など命に関わる深刻な病気になる可能性もあること、
あなたは知っていましたか?
人によってさまざまですが、ほとんどの人の場合、健康のためには毎晩約8時間の良質な睡眠を必要とします。
睡眠不足は睡眠時無呼吸といった病気によって引き起こされるケースもありますが、多くの場合は夜更かしや徹夜での仕事などの生活習慣によって引き起こされています。
ほとんどの人が、睡眠不足による疲労感、イラつき、集中力の低下などを経験したことがあると思います。
もし一日だけの徹夜など短期の睡眠不足であれば、次の日に悪影響が出たとしても長期的な面で健康を害することはありませんが、何日か睡眠不足の状態が続くと精神的な影響が深刻になっていきます。脳の働きが鈍り、集中や判断を下すことが難しくなります。気分が落ち込み、日中に眠りに落ちてしまうこともあるでしょう。また、自宅や職場、外出時の怪我や事故の危険性も高くなります。
さらに睡眠不足の状態が続けば、最終的には全体的な健康に影響し、肥満、心臓病、高血圧など深刻な病気にかかりやすくなってしまうのです。
睡眠不足が身体に及ぼす具体的な悪影響としては、以下のものがあります。
もし風邪やインフルエンザにかかったのであれば、睡眠不足が問題かもしれません。睡眠不足が長引くと免疫力が低下し、ウイルスを防ぐ力が弱まります。
睡眠不足によって体重が増えることがあります。「睡眠時間が一日7時間未満の人は、7時間以上睡眠をとっている人に比べて肥満になる確率が高い」という研究結果もあります。
たった一日眠れないだけで怒りっぽく不機嫌になってしまうとしたら、慢性的な睡眠不足がうつなどの長期的な心の病につながっても何ら不思議ではありません。
うつや不安障害で悩む人の睡眠時間を調べた結果、ほとんどの人が6時間未満だったというデータもあります。
ある研究によれば、普段の睡眠時間が5時間未満の人は糖尿病の発症・悪化のリスクが高いそうです。睡眠不足によって身体がグルコースを処理する過程が変わることで、2型糖尿病につながる恐れがあると考えられています。
睡眠不足になると男女ともに性欲が低下するということを証明した研究があります。
また、睡眠時無呼吸の男性の場合は、男性ホルモンが少なくなることで性欲が低下してしまうということも指摘されています。
長期的な睡眠不足は心拍数の増加や高血圧、炎症を引き起こす特定の化学物質の増加などにつながり、心臓に余計な負担をかけてしまうことがあります。
睡眠不足になると、男女ともに不妊になりやすいと言われています。実際、睡眠不足が続くと生殖ホルモンの分泌が減少することが証明されています。
もし十分な睡眠を確保できないのであれば、もっと寝ることで埋め合わせるしかありません。ただ、何ヵ月も睡眠不足が続いている場合は、回復するまでに何週間もかかると思ってください。
まず、週末の睡眠時間を1~2時間増やすところから始めましょう。
疲れを感じたらベッドに入り、ゆっくり眠ってください(このとき、アラームをかけてはいけません)。最初は10時間以上寝るつもりでいてください。しばらくすると、自然に普通の睡眠時間の範囲に収まっていくでしょう。
また、一時的に集中力を上げるためにカフェインやエナジードリンクを飲む人もいますが、これもやめてください。長期的な観点からいえば、睡眠習慣をさらに悪化させる原因になり得ます。
心臓病や糖尿病にかかるリスクが上がったり、太りやすくなったり、うつ病になりやすくなったり・・・睡眠不足には恐ろしい悪影響がいっぱいです。一日だけの徹夜ならまだしも、睡眠不足が続いているのであれば要注意!睡眠習慣の改善が一番大切ですが、まずは週末の睡眠時間の確保から始めてみてください。