慢性腎臓病って、別の病気がきっかけで発症するの?発症の原因は?

2018/9/2

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

慢性腎臓病はどのような原因で発症するのでしょうか?慢性腎臓病の原因や食生活の注意点について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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慢性腎臓病は、別の疾患が原因で発症するの?

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは、国内に1300万人の患者がいるとされる、慢性的な腎臓障害のことです。
以下のような症状が3ヶ月以上続く場合に、CKDと診断されます。

  • 蛋白尿や血尿が見られる
  • 画像診断で腎臓病が見つかった
  • 腎機能の低下が見られた

主なCKDの原因は、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎、高血圧、糖尿病、脂質異常症、などの腎臓病や生活習慣病が多いとされています。そのため、肥満、運動不足、過度な飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣病の原因となることに注意する必要があります。
また、加齢により腎臓機能の低下が見られるため、高齢者のCKD発症率も高い傾向にあります。

原因疾患

慢性腎臓病(CKD)は、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病にかかってから長期間経過した後に発症する場合や、慢性腎炎が原因となり発症する場合があります。

高血圧も慢性腎臓病の原因になる?

腎臓の機能が低下すると、体内の余分な塩分や水分の排出が行えなくなり、血液量が増えて血圧の上昇が起こります。そして血圧が上昇すると、さらに腎臓に負担がかかることになってしまい、腎臓機能の低下に繋がる可能性があります。

血圧と腎臓の機能の関係性について、以降でさらに詳しく解説します。

塩分(ナトリウム)と水分(尿)の調節

腎臓の機能低下が起こると、食事内の余分な塩分や水分を尿として排出させる腎臓の働きが悪くなるため、貯留した塩分や水分により血液が増量し、血圧上昇に繋がります。

血圧を上げるホルモンの分泌

腎臓から分泌されるレニンと呼ばれる酵素は、アンジオテンシンと呼ばれる血圧上昇を促進するホルモンの産生に必要な物質となり、血圧を一定に保つサポートとして機能しています。しかし腎臓の機能低下が起こると、その血圧を正常に保つ機能が低下するため、高血圧が引き起こされます。

末梢血管の抵抗

腎臓は末梢血管と呼ばれる無数の細い血管からできており、老廃物を含む血液を腎臓で濾過して心臓に戻す働きがあります。しかし、腎臓の機能低下により血圧が上昇すると、末梢血管が硬くなることにより血液循環が悪くなってしまいます。そしてさらに、末梢血管抵抗が増大していくと血圧上昇が促進されるという悪循環になってしまうのです。

慢性腎臓病の人が控えたほうがいい食事って?

以下の食品は、腎臓への負担が大きいので制限が必要です。

タンパク質
肉、卵、魚などに豊富に含まれるタンパク質は、分解された後に尿素窒素と呼ばれる排出が困難な物質になります。また、リンと呼ばれる二次性副甲状腺機能亢進症の原因となる物質も多く含まれています。
練り物、加工食品
かまぼこ、ちくわなどの練り物や、ハム、ソーセージ、干物などの加工食品は、塩分やリンを多量に含みます。
野菜、果物
野菜や果物に多く含まれているカリウムの血中濃度が上昇すると、不整脈や心停止の原因となることがあります。野菜の1日の摂取量目安は200g程度、果物は1日50g程度にとどめるようにしましょう。
漬物、佃煮
漬物や佃煮は塩分を多量に含みます。
味噌汁、鍋料理、麺料理
味噌汁、鍋、ラーメンなどの麺類は、水分や塩分を多く含んでおり、過剰摂取となることがあります。
インスタント食品
インスタント食品は塩分やリンを多量に含みます。
調味料
醤油、味噌、塩などの調味料は塩分を多量に含むため、計量スプーンなどを使用して使用量を確認するようにしましょう。

料理するときのポイント

塩分が少なくなるように工夫しよう
だしなど素材のうまみを活用して、塩分の使用量を控えましょう。
水分を制限するための工夫をしよう
腎臓機能が低下すると余分な水分の排出ができなくなるため、汁物や鍋物などの料理をできるだけ控えたり、食べる際には水分を残すなど、水分の過剰摂取にならないように注意しましょう。また、飲み物を飲む際には使用するコップを小さい物にしたり、温かい飲み物を少量ずつ飲むなどの工夫をしましょう。
エネルギーをとる工夫をしよう
カロリーの取り過ぎには注意する必要がありますが、体力や栄養の維持に必要な分のエネルギーは、しっかりと摂るようにしましょう。エネルギー源となる炭水化物も適度に摂取することが必要です。
また、3食きちんと食べる、偏った食材や調理法にならないようにすることなども大切となります。
良質のタンパク質を選ぼう
タンパク質は分解後に排出する際に腎臓に負担のかかるリンが多く含まれていますが、体に必要な栄養も多く含まれているため、適度の摂取することが大切です。
タンパク質を含む食材を選ぶ際には、アミノ酸スコア(必須アミノ酸の割合が高いもの)の高いものを選びましょう。

おわりに:慢性腎臓病となる原因を予防しましょう

慢性腎臓病は、主に腎臓病や生活習慣病が原因となり発症するため、生活習慣病の原因となる肥満、運動不足、過度な飲酒、喫煙、ストレスなどを予防することが大切になります。食生活では腎臓に悪い食品を避け、腎臓に負担をかけないようにしましょう。

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