記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病の指標のひとつが血糖値ですが、血糖値を測ったら300mg/dL以上もあった場合、やはり糖尿病の可能性が高いのでしょうか。この血糖値を下げるには、どうすればいいのでしょうか。
血糖とは体のエネルギー源となる血液中のブドウ糖のことをいい、血糖値はその量をあらわしています。血糖値が300mg/dL以上の場合は、糖尿病の疑いが強いといえます。
糖尿病の診断では、血液検査で次の4つを測定します。ひとつは過去1~2ヶ月の血糖を反映する「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」、そして、一般にもっとも血糖値が低くなる朝食前の「早朝空腹時血糖値」、早朝空腹時血糖値測定後75gのブドウ糖溶液を飲み30分、1時間、2時間後の血糖値を測定する「75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)」、食事と関係なく測定する「随時血糖値」です。
結果が、早朝空腹時血糖値126mg/dLか75gOGTTの2時間値200mg/dLまたは随時血糖値200mg/dL以上であり、かつHbA1cが6.5%以上のとき、糖尿病と診断されます。
血糖値が200mg/dL前後と多少高い程度ではほとんど症状はあらわれませんが、300~400mg/dLほどまで上がると、口の渇きや尿量の増加、倦怠感が起こったり、皮膚にできものができやすくなる、集中力がなくなる、空腹感がある、やせてくるといった症状があらわれる場合があります。さらに500mg/dL以上になると、吐き気やおう吐、意識が遠のく、昏睡に陥るなどの危険な状態に至ります。
日本人の糖尿病の約9割は、主に中高年以降にみられる2型糖尿病です。2型糖尿病の場合、食後血糖値で350mg/dL以上、空腹時血糖値で250mg/dL以上なら、まずインスリンの投与から治療をはじめます。高血糖自体がインスリンの分泌をさらに阻害するため、一生インスリンを打たなければならない状態を避けるためにも、早目に投与して血糖値が下げることが大切です。
インスリンの導入には以前は入院が必要でしたが、現在では糖尿病専門医であれば外来診療が可能で、1日1回の注射+飲み薬という組み合わせもできます。低血糖を起こす、一度打つと一生打たなければならないなどと考える人もいますが、現在の特効型や超速効型インスリンではその可能性は低く、すい臓を休ませることですい臓からの分泌が弱くなることもありません。
糖尿病は、自覚症状がほとんどないまま進行する病気です。口の渇きや尿量の増加、全身の倦怠感、体重の減少などの症状は、かなり長期間高血糖が放置されていたことで出てくる症状です。神経障害や眼底出血などの合併症が起きていても、自覚されていない場合も多々あります。
治療の開始により自覚症状は比較的早く消えますが、血糖値が正常値になったわけではなく、血糖値が300mg/dL以下でも正常値まで下がっていなければ治療は必要です。自覚症状がなくなったからといって、決して自己判断で治療を中止したりせず、定期的な通院で血糖コントロールをチェックするとともに、年1回の合併症チェックも必要です。
血糖値が300mg/dL以上の場合は、糖尿病の疑いが強いといえます。糖尿病は、自覚症状がほとんどないまま進行する病気で、症状があるならかなり長い間高血糖が放置されていた可能性があります。早めに専門医のもとを受診し、インスリンを投与してもらいましょう。自己判断せず、血糖値が正常に戻るまできちんと治療を続けるようにしてください。
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