記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
子供の性的虐待は、子供自身が誰にも言えないと黙ってしまったり、加害者が脅迫したりすることがあるため、なかなか表面化しないのが実情です。この記事では、子供の性的虐待の特徴や虐待による影響とともに、性的虐待を受けているサインについても解説します。
子供の性的虐待の加害者は、大人だけでなく、ほかの子供であることもあります。加害者は男性であるケースが大半ですが、女性の場合もあります。
また、子供の性的虐待は、すでに何らかの虐待を経験している場合に起こりやすいと言われています。たとえば、ネグレクト(育児放棄)状態にある家庭に暮らす子供は、親からの性的虐待を受ける危険性が高くなります。
性的虐待の加害者のほとんどは、被害者となる子供と何らかの接点があります。たとえば、加害者がターゲットにする子供にプレゼントをあげたり、「遠くに連れて行ってあげる」などと言って近づこうとします。こうした接触を繰り返しながら、子供とふたりきりになれるチャンスを狙っているのです。さらに、最近ではインターネット上で子供の性的虐待が起こる危険性もあります。たとえば、SNSやチャット、掲示板などを悪用して、性的虐待をしようとする人もいます。
子供への性的虐待の一例として、以下のようなものがあります。
子供は、自分が受けた性的虐待について人に話さない(話せない)ことがあります。それは、自分が話すことでまわりの人に迷惑をかけてしまうのではないかと不安になったり、加害者から性的虐待が「普通のこと」「特別な秘密」と思い込まされていたりするからです。また、加害者から脅迫されていたり、お金を渡されていることもあります。
子供にとって、性的虐待は身体的にも精神的にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、性的虐待を受けた子供は、性的搾取の対象となる危険性もあります。性的搾取の一例として、性的虐待の加害者のネットワークの中で、性的な目的を満たすために子供が受け渡しされることが挙げられます。
子供の性的虐待を受けているサインとして、以下のようなものがあります。
性的虐待を受けた子供は、攻撃的になったり、引きこもるようになったり、何かに依存するようになったりします。また、睡眠障害やおねしょがみられることもあります。
性的虐待をしている加害者に対して、子供が嫌悪感や恐怖感を抱くことがあります。また、加害者と二人きりになるのを避けるようになることもあります。
虐待を受けた子供は、記憶力や集中力が低下して、成績が落ち始めることがあります。
生殖器や肛門の痛み、性感染症、妊娠など、子供の体調に異変がみられることがあります。
自分が性的虐待を受けていることをほのめかすようなことを言うことがあります。
性的虐待をうけた子供は、「セックスしたことある?」といった性行為を直接表すようなことを言ったり、性的に不適切な行動をしたりすることがあります。
子供が性的虐待を受けている疑いがある場合、警察や地域の児童相談書に相談するなど、すみやかに対処することが大切です。匿名で通報することもできます。