急性膵炎を発症する原因ってどんなものがあるの?

2018/12/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医

山本 康博 先生

急性膵炎はうずくまるほどの激しい腹痛をともない、重症化すると死亡率も高まる大変危険な病気です。
そのため、発症する原因をきちんと知って、予防や早期治療を心がけなくてはいけません。
こちらでは、急性膵炎の原因やその症状について説明していきますので、心当たりのある人は生活を見直していきましょう。

急性膵炎ってどんな病気?

膵臓はみぞおちの奥、胃の裏側にある長さ20cmほどの左右に細長い臓器です。食べ物の消化に必要な酵素(膵液)を分泌して消化を助けたり、血糖や消化液の量を調節するホルモンを作ったりしています。

膵臓から分泌される消化酵素は物質を溶かす作用がとても強く、健康な状態であれば摂り入れた食べ物にのみ作用します。しかし、何らかの原因で膵液を出す膵外分泌腺に炎症が起こると、膵臓の働きに異常が出て、調節機能がうまく働かなくなります。

急性膵炎は、この調節機能がうまく行われず、分泌された消化酵素が膵臓自身を溶かしてしまう病気です。患者は年々増えていますが、特に男性の患者が多く、中高年層が最も発症率が高いです。

急性膵炎は炎症で膵臓が腫れるだけの比較的軽症なものから、多臓器不全と呼ばれる心臓や肺、腎臓など重要な他の臓器までもが影響を受け、最悪の場合に死に至るほどのものまでさまざまです。医療技術の向上とともに死亡率は低下してきていますが、重症になる前に早期発見・早期治療することが大切です。

急性膵炎を発症する原因は?

急性膵炎の原因で最も多いのが、アルコールの過剰摂取です。その次に、十二指腸乳頭に胆石が詰まって起こる胆石性膵炎、原因不明の膵炎が多いとされています。
アルコールの過剰摂取や胆石には、食生活が大きく関わっており、胆石は脂肪分の多い食事などが原因で発生します。

厚生労働省の調査によると、1日の適切な飲酒量はアルコール20gとされています。これはビールに置き換えると中瓶1本(500ml)、日本酒であれば1合、缶チューハイだと1.5缶程度(約520ml)に含まれる量です。

アルコールへの耐性には個人差がありますが、これを大きく超えるほどアルコールを過剰摂取した場合、胃液や膵液の分泌が増え、膵液を分泌する管(膵管)の出口のむくみなどにより膵液の流れが滞って膵炎を誘発したり、アルコール自体が膵臓を刺激して膵炎を引き起こすこともあります。

胆石性膵炎では、油を使った揚げ物や炒め物、ケーキなどの高脂肪なお菓子によって胆石が作られ、胆石が膵管を詰まらせて膵液が流れにくくなり、急性膵炎を引き起こします。
その他、過労やストレス、夜更かしや暴飲暴食なども急性膵炎の原因となります。

こんな症状が出てきたら、急性膵炎かも…!

急性膵炎の症状では、ほとんどの人が腹痛を感じます。

食後や飲酒をした後、みぞおちや背部に痛みを感じ、軽い痛みから、じっとしていられないほどの激痛まで個人差がありますが、痛みは持続性で、体をまっすぐに保つのが難しく、前かがみにうずくまってしまうような姿勢になるのが一般的です。
痛む箇所がみぞおちからへそ部分までの広い範囲であったり、箇所が特定できなかったりする場合もあります。

腹痛の次に多い症状が、吐き気と嘔吐です。吐いても腹痛は続き、発熱をともなう人もいます。
食欲不振や膨満感などの症状を感じる人もおり、このような症状は、だんだん出てくることもあれば、食後や飲酒をした数時間後に突然あらわれることもあります。

急性膵炎が進行して膵臓全体が腫れていくと、炎症によって腹腔内にたまった液体(腹水)が膵臓から漏れ出て腹部全体に広がり、腸の働きが悪くなってガスが出なくなる腸閉塞を引き起こします。

さらに重症になると、冷や汗やめまいなどの症状が感じられ血圧が低下し、脈が早くなってショック状態に陥るケースもあります。こうなると意識が低下するなどの生命に関わる重篤な状況を招き、最悪の場合、死に至ることもあります。
重症化した急性膵炎では膵臓だけにとどまらず、肺や腎臓、肝臓などの他の重要な臓器にまで影響を与え、壊死した部位に細菌感染が起こることで、感染症を合併します。

急性膵炎の多くは軽症で、絶食と絶飲と輸液により順調に回復していきますが、発症から数日は要経過観察となりますので、入院による治療が必要となります。
みぞおちや背部に痛みを感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

おわりに:食生活を見直して、急性膵炎の予防に努めよう

急性膵炎は重症化すると、膵臓だけでなく様々な臓器に影響を及ぼす病気で、周囲の組織が壊死・感染した場合には、死亡する恐れもあります。
急性膵炎の原因であるアルコールの過剰摂取や脂肪分の多い食事を控えて、発症の予防に努め、早期発見・早期治療を心がけしましょう。

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