膵臓で作られるホルモンは2種類あるの?どんな働きをしている?

2018/11/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ふだんあまり意識することのない「膵臓」の作用ですが、この膵臓は体内でどんな働きをしているのでしょうか。また、どんな作用をもつホルモンを分泌しているのでしょうか。それぞれ解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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膵臓ではどんなホルモンが作られているの?

膵臓で作られる細胞は、ランゲルハンス島と呼ばれる細胞の集まりの中で作られます。ランゲルハンス島の中にはアルファ細胞とベータ細胞があり、それぞれに違うホルモンを分泌しています。

アルファ細胞では、血液中の糖分を増やすグルカゴンが作られ、脂肪組織の脂肪をブドウ糖に作り替えたり、肝臓に蓄えられているグリコーゲンをブドウ糖に戻しています。

一方ベータ細胞では、血液中の糖分を減らすインスリンが作られています。インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んだり、余分なブドウ糖を脂肪組織に蓄えます。
この正反対の働きをするグルカゴンとインスリンが、協力し合いながら働くことで血液中の糖分がバランスよく保たれているのです。

インスリンは体内でどんな働きをしているの?

血液の中には、体を動かすエネルギー源となるブドウ糖が含まれています。この血液中のブドウ糖は血糖と呼ばれており、食事をして1~2時間で量が増加し、その後は減少していきます。食事をすると、ランゲルハンス島のベータ細胞からインスリンが分泌されます。体中の臓器に血糖がいきわたると、インスリンが働いて血糖を細胞に取り込んでエネルギー源にしたり、蓄えたり、たんぱく質の合成や細胞が増えていくのを助けます。そして、食後に増えた血糖は、インスリンによって適切に処理されていき適正な量となるため、血糖はほとんど上がることなく安定した状態を保つことができています。

もし、インスリンの働きが何らかの原因で悪くなってしまうと、ブドウ糖が増えてしまい糖尿病の原因となってしまいます。

グルカゴンはどんな働きをしているの?

グルカゴンには血糖を上げる働きがあります。長い時間食事を取らずに空腹になると、インスリンの分泌が減ります。すると、アルファ細胞からグルカゴンが分泌され、肝臓に蓄積されているグリコーゲンを分解したり、ブドウ糖を新しく作って血液の中に流していきます。そして、エネルギー源であるブドウ糖が不足しないように調整を行います。

そしてこのとき、グルカゴンが増えすぎないように少量のインスリンも一緒に分泌されています。食事をしてインスリンが増えてくると、グルカゴンの分泌量が減っていくので血糖値も上昇せずに一定の状態を維持することが可能になります。

ところが、インスリンの働きが悪くなるとグルカゴンがどんどん増えていってしまい、血糖値が上がって下がらなくなってしまいます。その状態が続くと糖尿病となるのです。

おわりに:インスリンとグルカゴンは血糖を維持するうえで大切な役割を持つ

膵臓で作られるホルモンであるインスリンとグルカゴンは、血糖を正常に維持する役割を持っています。ところが、インスリンは生活習慣などによって働きが鈍くなることがあります。血糖を一定値に保ち健康的な生活を送るためにも、普段の生活習慣に気を付けるようにしましょう。

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