食道裂孔ヘルニアの症状は?手術しないと治らないの?

2018/12/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

胃の一部が胸部に入り込んでしまう「食道裂孔ヘルニア」。この食道裂孔ヘルニアでは、どんな症状が現れるようになるのでしょうか。手術の必要性や治療法などもご紹介していきます。

食道裂孔ヘルニアってどんな病気?

食べ物が流れていく食道は、胸部と腹部を隔てている横隔膜の「食道裂孔」という穴を通って胃とつながっています。しかし、この丈夫な膜組織で食道を固定している穴が加齢や腹圧の上昇により緩んで、本来腹部にあるべき胃の一部が胸部に入り込んでしまうのが「食道裂孔ヘルニア」です。

食道裂孔ヘルニアには大きく4つのタイプがあります。もっとも多いのは、腹圧がかかることで食道と胃の境目の部分がそのまま穴の上に上がってくる「滑脱型」、まれにあるのが、境目はそのままで周囲の胃が食道側に入り込む「傍食道型」、滑脱型に次いで多いのが、これらの要素が混ざった「混合型」、さらに、腰の曲がった高齢の女性に多い、傍食道型ヘルニアが進行し胃の大部分が食道側に入り込んでしまう「複合型」があります。滑脱型と混合型で90%以上を占めているといわれています。

食道裂孔ヘルニアになると出てくる症状は?

症状はタイプによって違いがあります。

滑脱型では、食道の下部で胃酸の逆流を防いでいる括約筋の働きが弱くなって食道が閉じにくくなり、胃の内容物や胃液が食道側に逆流を起こして、胸やけや呑酸などの症状がでます。ただしヘルニアが小さいと無症状の場合もあります。

混合型では、滑脱型がさらに進行してヘルニアが大きくなるため逆流もひどくなり、胃の圧迫や血流の悪化などで痛み、胃潰瘍を起こすこともあります。

傍食道型では、胃の圧迫によるみぞおちの痛み、食道の圧迫による嚥下困難(飲み込みにくさ)などがあらわれます。

複合型は、食道側に入り込んだ胃により心臓や肺が圧迫され動悸や息切れが起こります。胃がねじれて食べ物が通りにくくなり、ひどくなると血流に障害が起きて胃が壊死し、命の危険にさらされる可能性もあります。

食道裂孔ヘルニアは手術しないと治らない?

手術を考えなければならないのは、ヘルニアが大きい場合です。胃酸の逆流による軽い症状に対しては、胃酸の分泌を抑える薬などを服用し、ヘルニアが進行しないよう腹部を締めつけたり前かがみになるなど腹圧を上げる行為を避けるようにします。それでも症状が治まらない場合や複合型のような場合には、手術を考慮します。特に重症化した複合型では緊急手術が必要となります。

代表的な手術方法は、胸部に入り込んだ部分を腹部の正しい位置に戻すとともに、広がった食道裂孔を小さくし、逆流を防止するための処置を行うというものです。近年では、腹部に数カ所小さな穴を開けて、内視鏡や手術器具を挿入し処置を行う腹腔鏡手術が主流となっており、体への負担が少なく入院期間も短縮されています。ただし、複合型の緊急手術の場合は開腹手術となります。

おわりに:食道裂孔ヘルニアは、タイプによって症状や治療法が異なる

食道裂孔ヘルニアには4つのタイプがあり、もっとも多い滑脱型では胸やけや呑酸、次に多い混合型では胃の圧迫感や胃潰瘍、傍食道型ではみぞおちの痛みや嚥下困難、複合型では動悸や息切れ嚥下困難、重症の場合は胃の壊死などが起こります。症状が軽ければ服薬で治りますが、ヘルニアが大きい場合などは手術が必要となります。

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