記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肋骨のすぐ下あたり、左上腹部にあるにぎりこぶし大の臓器である脾臓。
血液を正常な状態に保ったり、止血に必要な血小板を貯蔵したり、体を感染症から守る働きがあるといわれる一方で、摘出しても問題ない臓器ともされています。
今回は、治療のために脾臓を摘出する必要が出る可能性のある病気と、脾臓を摘出した場合に現れる身体への影響について、解説していきます。
脾臓を摘出する恐れのある脾臓の病気としては、以下のようなものが挙げられます。
このような病気によって脾臓の機能が著しく低下し、腫れが見られて機能回復が見込めない場合は、脾臓の全摘出による治療が行われることもあります。
なお脾臓の摘出手術は、腹腔鏡下脾臓摘出術(ふくくうきょうかひぞうてきしゅつじゅつ)という術式で行うのが主流となっています。
脾臓の働きが作用している血液や免疫機能の異常は、いずれも人体の健康状態の維持に欠かせません。
だからこそ、大きな異常が生じたときには全身の健康に悪影響が及ぶのを避けるためにも、脾臓の病気治療法の1つとして全摘が検討されることになるのです。
病気のために脾臓を摘出しても、その働きを肝臓がある程度補ってくれるため、体に大きな悪影響は出ないと考えられています。
ただし、脾臓は特定の感染症に対して重要な免疫機能を担っているため、脾臓を摘出すると全体的な免疫機能が落ち、感染症にかかりやすくなるというリスクもあります。
特に、脾臓は肺炎球菌やインフルエンザウイルスに対して強い免疫機能を持っているため、脾臓を摘出することでこれらに感染・重症化するリスクが高くなります。
このため、脾臓を摘出した人には継続的に予防ワクチンを接種するなどして、徹底した感染症予防を行うことが推奨されています。
血小板の貯蔵や赤血球の入れ替え、体を感染症から守る働きを担う脾臓が病気になると、全身の健康に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあります。このため、病気で脾臓の機能回復が望めない場合には、治療のために手術で摘出するケースもあるのです。
脾臓を摘出しても、働きの大部分を肝臓が補うため大きな支障はありません。ただし感染症にかかりやすく、重症化しやすくなるため、脾臓の摘出後は徹底した感染症対策が必要になります。
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