冠動脈CT検査をうけるとどんなことがわかるの?デメリットは?

2019/2/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

冠動脈CT検査とは、CT検査の一種で、X線を使って体の断面を撮影する検査です。では、実際にどのようにして検査を行うのでしょうか?また、どんなことがわかるのでしょうか?そして、冠動脈CT検査を受けることのメリット・デメリットには、どのようなことが考えられるのでしょうか?

冠動脈CT検査ってどんなもの?

冠動脈CT検査とは、心電図を取りながら心臓の撮影を行う造影CT検査です。

冠動脈は、心臓の筋肉を動かすため、心臓そのものへ酸素やエネルギーを供給するための血液を送っている血管です。カテーテルを利用した冠動脈造影検査を行う場合では入院が必要となっていましたが、冠動脈CT検査では体内に器具を入れたり体を切開したりする必要がないため、外来で行えて体の負担も少なく済みます。

主に狭心症や心筋梗塞などの心疾患の診断、冠動脈にバイパス手術を行った患者さんの経過観察にも使われます。かかる時間はおよそ30分程度で、以下のような手順で行います。

  1. 検査室に入って心電図をとり、造影剤を静脈に入れるために注射する
  2. 舌の内側に冠動脈を拡張させるためのニトログリセリンを噴霧し、撮影を開始する
  3. 撮影終了後、副作用が起こらないか15分程度様子見してから問題なければ退院

冠動脈CT検査が必要になる病気ってどんなものがあるの?

冠動脈CT検査が必要な病気には、以下のようなものがあります。

狭心症
冠動脈CT検査は、狭心症の診断に特に有用
器質的な狭窄の病変や冠動脈の石灰化を発見するだけでなく、プラーク(動脈壁の肥厚)の性状を評価することが可能
冠動脈ステント留置後の経過観察や、冠動脈バイパス手術後の経過観察も患部を痛めることなく非侵襲でできる
心臓弁膜症
大動脈弁狭窄症などの弁膜症の診断で、大動脈の弁口面積の評価ができるようになってきた
弁口面積と同時に、大動脈や弁輪部、冠動脈の情報も得られ、手術前の術前精査としても活用できる
大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離)
大動脈壁・瘤・大動脈解離のフラップ(解離で浮き上がった内側の膜)をより鮮明に描出し、手術の適応評価や術式決定に有用
肺塞栓症
一度の撮影で造影CT画像と肺血流の画像を同時に得られるようになった
閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症の場合、冠動脈疾患の合併の可能性が高い
下肢の造影CT時に同時に冠動脈CTを撮影することができるため、同時に診断が可能
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションとは、治療用のカテーテルを心臓に挿入し、先端から電流を流して疾患部位を焼灼する治療法
カテーテルアブレーションを行う前に、冠動脈CT検査を行って治療のための情報を得る

冠動脈CT検査は、心臓カテーテル検査と比較して苦痛が少なく、重篤な合併症もない、低侵襲の検査です。そこで、心臓の疾患が疑われる際、まず初めに診断し、方針を決定するために行われる検査として有用です。特に、狭心症の診断においては有用で、高血圧や脂質異常症、糖尿病・喫煙・動脈硬化などのリスク因子を持っていたり、胸痛があったり、心臓病の家族がいるなどの人は特に検査することが勧められます。

また、冠動脈へのステント挿入後や冠動脈バイパス手術後に、経過観察を行うのにも非侵襲的に行えるため、患者さんの体への負担を減らすことができます。カテーテルの挿入が困難なこともありますので、挿入したカテーテルによってステントやバイパスグラフトが傷つくリスクもありません。さらに、任意の角度から観察できるため、1回の撮影でさまざまな角度から術後の経過を評価することができます

弁膜症の診断では、以前から心エコー検査、経食道心エコー検査がゴールドスタンダードとされてきました。しかし、エコー検査は角度を任意に変更することが難しいため、特に人工弁を利用している症例などで、人工弁そのものが邪魔になってしまい、評価が困難になることが少なくありませんでした。

ところが、CTの時間・空間分解能の向上によって、大動脈弁の詳細な観察や、弁口面積の正確な評価ができるようになりました。これにより、今後は冠動脈CT検査が弁膜症の診断において非常に有用なツールとなるであろうと考えられています

冠動脈CT検査のメリット・デメリットは?

冠動脈CT検査のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

冠動脈CT検査のメリット
  • 心臓カテーテル検査と比べ、侵襲性が低く安全で短時間に行える
  • 心臓以外にもその周囲の胸部~上腹部の情報を得ることができる
  • 侵襲性が低く短時間であることから、入院の必要はなく外来で検査が行える
冠動脈CT検査のデメリット
  • 造影剤アレルギーの人は検査できない
  • 腎機能が低下している人は検査できない可能性がある
  • 冠動脈の石灰化が大きく進行している場合、診断の精度が悪くなる
  • 心臓カテーテル同様、造影剤の副作用や放射線被曝のリスクがある

冠動脈CT検査は、カテーテルを通す検査よりも非侵襲的、つまり体に直接的に器具を挿入するわけではないため、体への影響が少なく済みます。その点で比較的安全に、そして短時間で簡単に行うことができる検査だと言えます。さらに、心臓カテーテルよりも広範囲にわたって胸部〜上腹部の様子を観察することができます

しかし、冠動脈CT検査にもデメリットはあります。造影剤アレルギーの人は検査ができない、造影剤と放射線被曝のリスクがある、という点は心臓カテーテルと同じです。また、腎機能が正常の範囲内である場合は問題ありませんが、腎機能が低下している場合は造影剤によって腎臓にさらに負担をかけるリスクがありますので、検査ができないこともあります。

また、冠動脈の石灰化が進行している場合、診断の精度が低くなることがあります。冠動脈の詰まり具合を実際よりも強く判定してしまうことも多く、石灰化が「ある」か「ない」かを判断するのには有用な検査ですが、石灰化の正確な進行具合を判断するのにはやや不確実であると言わざるを得ません。

おわりに:冠動脈CT検査は非侵襲性かつ任意の角度の描出ができる

冠動脈の検査は心臓部分の検査であることから、従来のカテーテルを用いた検査では侵襲性の問題がありました。しかし、冠動脈CT検査は造影剤とX線を用いて撮影を行うため、体内に器具を挿入することなく非侵襲的に検査を行えます。

また、体の断面を撮影することで、さまざまな角度から患部を描出し、観察・評価ができるようになりました。病変の検出だけでなく、経過観察にも有用な検査です。

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